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1 緒 言 住宅等において,人は床,手すり,家具など種々の住設 備に頻繁に手足を接触している.住設備に触れたときの 接触感は,材料およびその表面の物性に影響される.これ まで,木材を含む各種建築仕上げ材料の接触感に関する研 究が,1970年代から主に学生を被験者として行われ,種々 明らかにされてきた.これらの研究では,熱伝導率,1)~ 4) 動摩擦係数,5)~ 7)硬さ,8)含水率,9)表面粗さ 10)~ 12)などの材 料物性,手と材料との接触面での熱移動量,2), 13), 14)温度 変化,15), 16)水分蒸発量 9)などの接触面の物理量,および人 の手を代用する装置(熱移動量測定機,2), 13), 14)感触温度 測定器,15), 16)パラフィン製指先レプリカ接触子 17)など) を開発して測定した物理量との関係が検討されてきた. 我が国は高齢化社会を迎え,高齢者が健康,安全で快 適な生活を送るための住環境の整備が求められている. このため,バリアフリーあるいはユニバーサル・デザイ ンの考え方で,安全性について各種の整備が進められて きた.しかし,住設備に触ったときに感じる快適性につ いての配慮はほとんどなされていない. 接触感は,材料の物性に加え,触る人の皮膚表面性状 に関係すると考えられる.これは世代間で異なると考え られ,このことは快適と感じる住設備の材料および表面 が世代間で異なることを予測させる.しかし,皮膚表面 性状と接触感に着目した研究はほとんど見当たらない.3) 木材の接触感に関する研究はこれまでほとんどが無垢 材について行われてきた.住宅等において使われている 木材製品の多くは塗装されており,接触感に及ぼす塗装 の影響を明らかにすることが実用上重要である. 本研究は,塗装木材について,高齢者および若年者を 被験者とした官能試験および皮膚表面性状の計測,なら びに接触面の温度変化および表面粗さの測定を行い,こ れらの関係を明らかにして,高齢者と若年者の接触感の 違い,高齢者にとって快適な材料表面はどのようなもの であるかを探ることを目的としている.本報では,無塗 装および塗装したオークまさ目材の温冷感,乾湿感,滑 り感,凹凸感および“心地よさ”について検討した. 塗装オーク材の接触感における高齢者と若年者の相違 大 越 誠 山 崎 真 吾 野 口 希 恵 古 田 裕 三 藤 原 裕 子 ● ● ● ● The Difference of Tactile Sensations of Coated Oak Wood between Elderly Person and Young Person