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1 緒 言 電子機器は,半導体などの電子部品を基板に実装し, 筐体あるいはパッケージに組立てた構造体と定義される. 図 1に半導体パッケージの断面構造を示す.(a) はリー ド付パッケージである.半導体チップはチップパッドと 呼ばれる金属板に接着剤などを用いて接合される.半導 体チップとリードは,直径が 20~ 30μmの金属細線(主 に Au)により電気的に接続される.半導体チップ,チッ プパッド,ボンディングワイヤおよびリードの一部は樹 脂により封止され,外界から守られている.リードはプ リント基板の配線(ランド)にはんだで実装される. 図 1(b)は十数年ほど前から用いられるようになった BGA(ボール・グリッド・アレイ)と呼ばれるパッケー ジである.半導体チップは内部基板に接合され,この基 板の上面に設けられた配線と半導体チップの電極がボン ディングワイヤで接続される.基板厚さ方向の貫通配線 により上面の配線と下面の配線が接続され,下面の配線 には,はんだボールが接続される.このはんだボールに より外部プリント基板と内部基板が接続される.はんだ ボールは 2次元配置ができるので,多くの端子を必要と するパッケージとして用いられている. 本稿ではこのような半導体パッケージおよびその実装 構造を対象とし,電子機器における疲労強度設計技術の 必要性とその歴史,さらに最近の動向について述べる. 2 電子機器における疲労強度設計 電子機器の疲労破壊の原因は,次の 4つに大別される. 1) 繰返しの温度変化:電子機器は,線膨張係数の異な る材料で構成され,自己発熱や環境の温度変化によ り繰返しの温度変化を受ける.これらの要因による 熱疲労破壊.最も重要な課題である. 2) 振動:一般の機械構造物に取り付けられた電子機器 が機械振動により生じる疲労破壊. 3) 強制変位:プリント基板製造時における検査工程で のプロービングや組立工程での挿抜,さらにユーザ が繰返しの強制変位を与えることによる疲労破壊. 4) 衝撃荷重:近年,モバイル機器で問題となっている 落下衝撃による疲労破壊. 図 2にリード付き LSIパッケージの実装構造の疲労破 壊の形態を示す.長期間の温度変化の繰返しにより,ボ 疲労の基礎と実機疲労設計の最新動向

Fundamentals of Fatigue and Recent Trends on Fatigue Design in Mechanical Structures