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1 緒 言 炭素材料が利用されてきた歴史は古く,工業的には黒 鉛電極,発熱体,耐熱材および機械用軸受等に汎用され ている.炭素原子は化学結合様式や集合形態の多様性, すなわち結晶性の高い黒鉛から非晶質に近いガラス状炭 素等に至る幅広い構造をとり得る.したがって,材料と しての特性も多岐に渡っている.1)最近では,カーボンナ ノチューブ複合材料の研究等も盛んであり,2)炭素材料の 用途は益々広がりつつある. その様な中,炭素材料の多様性のひとつとして,岡 部・斉藤らによって開発されたウッドセラミックス 3)があ る.ウッドセラミックスは廃材の再利用にもつながり,資 源の有効利用に貢献している.また,この製造法を応用 することにより,天然の植物組織の持つ多孔質構造を利 用して容易に安価な多孔質炭素材料を製造する技術が確 立されている.4)これらの多孔質炭素材料は,摺動材料や 電気材料として,5)~ 7)実用化に向けた研究がなされている. 著者らを含む研究グループは,国内における年間発生 量が 90万トンの米糠に着目し,その有効利用について 検討してきた.8)そして,米糠油抽出後に残る脱脂糠を利 用し,それにフェノール樹脂を含浸し,炭化焼成して得 られる多孔質炭素材料の製造に成功している. 米糠焼成多孔質炭素材料(米糠焼成材)に関しては, これまで摩擦摺動性 9)や基本的な強度特性 10)の測定が行 われ,ばらつきの評価や破損の基本的なメカニズム 8)に ついて検討されている.その結果,米糠焼成材が工業材 料としてさらに普及するためには,耐水性等の耐環境性 や射出成形性の改善等の課題を克服することが不可欠で あることが明らかになってきている.また,米糠と同様 に籾殻についても,天然の植物組織が持つ多孔質構造を 有する炭素材料としての有効利用が期待されている. そこで本研究では,米糠焼成材および新規に開発する 籾殻焼成多孔質炭素材料(RHSカーボン)の耐水性につ いて検討する.さらに,RHSカーボンについて圧縮強度, 曲げ強度および破壊靭性値の測定を行い,力学特性を評 価する. 2 供試材および実験方法 2・1 供試材 Fig. 1に RHSカーボンの製造工程を示す.米糠焼成 材も同様の製造工程により作製される.まず,籾殻ある いは脱脂糠に熱硬化性のフェノール樹脂を 25mass%一次 含浸させて乾燥後,窒素ガス雰囲気中で 3時間焼成する 事によって米糠焼成粉体を得る.さらに,これにフェノー ル樹脂を 25mass%二次含浸させて加圧成形または射出成 形し,乾燥後,窒素ガス雰囲気中で焼成する. 従来から製造している米糠焼成材では,一次および二 次含浸させるフェノール樹脂として,塩基性触媒下で反 応させて生成するレゾール型を使用している.このレゾー 籾殻から作製した改良型多孔質炭素材料の耐水性および力学特性 宍 戸 道 明 久 保 聡 吉 田 圭 吾 高 橋 武 志 飯 塚 博 吉 田 圭 吾 Water Resistance and Mechanical Properties of Modified Porous Carbon Materials Made from Rice Hull