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1 は じ め に 金属材料の局部腐食のなかで も深さ方向に孔状 に深 く 侵食する現象を孔食 という.孔 食が発生するとそれが原 因とな り部材の損傷,破 壊などをもたらす場合が多い. 一般には不動態金属の表面あるいは酸化皮膜などにより , 不動態化 された表面におきる.孔 食はすき間部を構成 し ていない自由表面に生 じ,お もに垂直方向に成長する. それに対 して金属材料 と金属材料,金 属材料と非金属材 料が接するところ,た とえばナットとナ ットの接合部や 金属 とOリ ングの接点,フ ランジ継手のガスケット部 などすき間構造 をとるところでは,他 の部分にくらべて 著 しい腐食を生じ,し ばしば装置材料の腐食損傷の原因 となることが多い.こ のす き間部のために物質移動が妨 げられておきる腐食 をすき間腐食 という. 孔食とすき間腐食は,現 象的にはよく似ているが,す き間腐食は孔食にくらべ卑な電位でおこることと,金 属 /金属の接合部ばか りでなく金属/非金属の接合部でもお こるため問題も大 きい.さ らにす きま腐食型の局部腐食 をとる場合として腐食生成物が関与することもある.孔 食 ・すきま腐食を起点として,応 力腐食割れが発生する こともしばしばみられる.こ のようにどちらもかなり重 要な局部腐食であるので,そ の評価法についても多 くの 研究がなされている.孔 食の評価法についてはわが国で は,電 気化学的な方法 として孔食電位測定法(G-0577) および浸漬試験法(G-0578)にJIS規 格化 されている. しか し,す き間腐食の評価法は,わ が国では現在まで規 格化 された方法 が ない.欧 米 な どでは,浸 漬 法が ASTMに よ り規格化 されている.こ れは歯型構造 を もったす き間形成材を試験片の両側から一定 トルクで押 しつけて自然海水中に浸漬 して,歯 型部(す き間部)に 発生する腐食数 と侵食深さを判定する方法である.わ が 国では現在まで定まった方法がないのですき間腐食を評 価する機関が独自のすき間構造 をもつ試験片により独自 の方法で評価 している.電 気化学的手法 を用いた方法に ついてはすき間腐食発生の臨界電位,す なわちす き間腐 食再不動態化電位,ER,crevを 測定する方法が辻川らに よって提案され広 く行われている.孔 食に対する一般的 評価 についてはJISの 孔食電位測定法のような規格化 された方法があり,孔 食電位が材料の耐孔食性のめやす として使用されている.孔 食試験法よりもむしろ,す き 間腐食評価法にかなり異論も多いのでここではす き間腐 食試験法を中心に問題点を整理 してみたい. 2 孔食の評価法に関する検討 金属材料の孔食は,ス テンレス鋼,銅 およびアルミニ ウムなどではかなり事例 も多い.こ の中でもステンレス 鋼については問題 も多いので,こ こではステンレス鋼の 孔食評価法について検討 したい.ス テンレス鋼の耐孔食 性の目安 として孔食電位を測定することが多い.孔 食電 位測定法については,す でにJIS規 格化 されて多方面 で汎用されている.孔 食電位測定の際に問題になるのは アノー ド分極させたときに金属と絶縁被覆との境界部に 生 じるす き間腐食である.こ のすき間腐食が生ずる電位 は,自 由面に孔食が生 じる電位よりも卑であるため正 し く孔食電位が求められない.絶 縁被覆の種類を変化する ことによってす き間腐食の併発を防 ぐことが行われた. しかし,ど の被覆剤を用いても好ましい結果は得られな かった.す き間腐食の併発を防 ぐ方法 としては,塩 原ら が提案 したように絶縁被覆 と接する金属部分に不動態皮 膜を形成させて,そ の部分の耐孔食性を増すことによっ てすき間腐食の併発を防ぐ.さ らに実験直前に試験面内 をエメリー紙で研磨 して不動態皮膜を取 り除 き,こ の面 に孔食を発生させ る.こ のようにするとす き間腐食発生 による影響を除去できて正 しい孔食電位が測定可能であ る.

History and Remained Subject on Standardized Corrosion Test Methods. IV: Techniques for Evaluating Pitting Corrosion and Crevice Corrosion.