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マグネシウム合金の最大のメリットは何と言っても,鉄 の約1/4の密度を示す軽量性である。材料の重さはポーラス 化(中空化)等の特殊な構造・形状制御を行わない限り,構 成する原子種に支配されるのは必然であり,すなわちマグネ シウム合金の軽量性は何物にも代替できない「機能」その ものと言える。ただし構造材料としての適応を考えるうえ では,その「比強度」も重要であり,マグネシウム合金の 強度不足が構造部材としての用途を制限している例が多く ある。しかしこの点について2000年初頭,熊本大学 河村 らにより,粉末冶金法により作製されたMg–Y–Zn三元合金 が5%程度の延性を保持しつつ600 MPa以上の降伏強度を示 すという革新的発見がなされた 。本合金中にはMg母相に 加え,図1(a)に示すようにMgと共通の最密(0001)底面 を有するものの,その積層周期が c軸方向に長周期化した, long-period stacking ordered phase(LPSO)相と呼ばれる第二 相が共存していることが見出された。東京大学 阿部らによ るHAADF-STEM観察 により,このLPSO相中ではY, Znが 特定の積層面上に選択的に偏析するという特異な構造を有す ることが確認された。この構造は後にシンクロ型LPSO構造 と命名され,その特異な構造と各種材料特性との相関を解明 すべく研究が進められている。 筆者はこの特異なシンクロ型LPSO構造を有するMg12YZn 長周期相の塑性変形挙動を明らかにすべく研究を進めて おり,この結果,LPSO相の塑性挙動は荷重軸方位に依存 して強い異方性を示すことを見出した 3), 。その端的な例 として,図 1(a)に示す 18R型LPSO相ほぼ単相からなる Mg88Zn5Y7(at%)合金の一方向性凝固(DS)結晶をブリッ ジマン法により育成し,この結晶に対し,成長方向に平 行(0°方位),45°傾いた方位(45°方位)の2方位をそれぞ れ荷重軸とし圧縮試験を行ったところ,その室温降伏応力 は,0°方位では約165 MPa,一方,45°方位では約35 MPaと, 著しい異方性を示すことが見出された 。変形組織観察に より,この両者の挙動の違いは,荷重軸方位に依存して異 なる塑性変形機構が発現することに由来することが明らか となった。DS処理を施した結晶中,LPSO相結晶粒は平均 厚さ約100 μm程度の板状形状を示し,成長方向に沿って一 様に伸びた形態を示すことが確認された。その平滑な板状 解 説

Development of magnesium alloys as a “highly-functional structural material”