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結晶粒界性格は,そ の移動特性やまた結晶粒成長の影響 因子として,常 に興昧の持たれる課題である。例 えば,す べての粒界は同一の性格であると仮定すると正常粒成長 し か起 こり得ない,と の結論 がHillert1)やSrolovitz2)らの研究 から得 られている。 しか しながら,様 々な粒界性格が存在 す ると仮定 したとしても,そ れが異常粒成長の発現にどの ように関わってくるのか,と いった知見は十分には得 られ ていない。そこで本研究においては,最 も特徴的な結晶粒 界の一つである小角粒界に注 目し,異 常粒成長が明確に定 義できる現象の中での移動挙動を観察 し,結 晶粒成長に及 ぼす粒界性格の影響 を検討する端緒 をなす事 を目的 とす る。 小角粒界は,低 エネルギーもしくは低張力であると同時 に,極 めて移動 しにくい粒界として広く認識 されている3,4)。 その構造は転位が弾性場を介 して引き合い,縦 方向に整列 したもの として説明される。完全転位の配列を仮定すると, 小角粒界 を挟 む結晶粒間の方位差は約15◇が最大値 とな る。このモデルによって粒界エネルギーが方位差の関数と して計算 されてお り3),Dunnら4)に よる3%si-Fe合 金での 実測値 と良い一致を示 している。そこで,こ の粒界の移動 特性 を,最 も顕著な異常粒成長現象の一つである二次再結 晶の中で観察 しその特徴を解析する。方向性電磁鋼板の製 造過程の中で得 られる二次再結晶現象は様 々な手法で発現 させ得る事が示 されているが5-7),そ の中でも,P.N.Goss5) が開発 した方法は,冷 延一 次再結晶によって{110}<001> 方位に比較的集積を持たせたマ トリクス集合組織の中に MnS等 を微 細 析 出 させ,高 温 焼 鈍 に よっ て同 じ く {11O}<001>方 位 を持 った結晶粒のみ を異常成 長 させ る。 従ってこの二次再結晶粒は,そ の成長過程の中で近傍方位 粒に接する頻度が高い筈であり,多 くの小角粒界を移動 さ せながら他粒に優先 して成長 しなければならない。 この様 にとりわけ移動困難な粒界の移動 が高頻度に生 じる中で の,明 確 な異常粒成長の発現 といういささか逆説的な現象 の解析 を試みる。

Migration of Low Angle Grain Boundaries during Secondary Recrystallisation in Silicon Steel Sheet