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自動車のエンジンから発生する排気ガスは,触媒コン バータで浄化され,マフラーから車外に放出される。エン ジンからマフラーまでを繋いでいるのが排気管部品であ り,エンジンに近い上流側からエキゾーストマニフォール ド(エキマニ),パイプ,触媒コンバータ,サイレンサー, マフラーなどで構成されている 。中でも,エンジンに近 い上流側に位置するエキマニや触媒コンバータは,1073 K を超える高温の排気ガスに曝されることになるため,そ の材料には高い耐熱性が必要とされる。これらに対して, 以前は鋳鉄が多く使用されていた が,80年代後半以降, 軽量化の観点からステンレス鋼板の使用が多くなってい る 。 これらの排気管部品に必要とされる耐熱性として,以下 の三つの特性が代表的なものとして挙げられる 。 1 熱疲労特性 :温度の上昇に伴う熱膨張と下降に伴う 熱収縮が,接続された部品により拘束され,それぞれ圧 縮,引張のひずみが発生し,そのひずみの繰り返しの蓄 積により破壊に至る疲労。 2 高温疲労特性:高温の排気ガスに曝された状態で,エン ジンからの振動に起因してひずみが蓄積し,破壊に至る 疲労。 3 耐酸化性:高温の排気ガスに曝されて温度が上昇すると, 素材中の元素(Feなど)がガス中の酸素等と結びつき酸 化物として表面に生成する。この酸化物の生成量が多く なると,素材の肉厚が減少し,上記の疲労によって破壊 しやすくなる。 エンジン耐久試験において,エキマニに破壊が生じる場 合の大半が熱疲労によるものであり,耐熱性の中でも熱疲 労特性が最も重要視されている 。 ステンレス鋼には,大きく分けてオーステナイト系ステ ンレス鋼とフェライト系ステンレス鋼がある 。オーステ ナイト系ステンレス鋼は高温での強度は優れる が,fcc構 造であるため熱膨張係数が大きく,熱疲労特性の観点で不 利とされる 。フェライト系ステンレス鋼はオーステナ イト系ステンレス鋼に比べ高温強度は劣るものの,bcc構 造であり熱膨張係数がオーステナイト系ステンレス鋼に比 べ40%程度小さい。そのため,高温に曝される排気管部品 には,熱疲労特性の観点でフェライト系ステンレス鋼が多 く使用されている 。 一般に,熱疲労寿命は(1)式に示すManson-Coffin則に 論 文

Effect of Plastic Strain and Recovery Rate on Thermal Fatigue Behavior in High Heat-resistant Ferritic Stainless Steel SUS444