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板材成形シミュレーションは,プレス成形において製品 開発のコスト削減やサイクル短縮のために必要不可欠な ツールとなっており,製品性能や成形不良の高精度な予測 が求められている。精度の高い予測結果を得るために,材 料の塑性変形挙動を正確に再現できる材料モデルは欠かせ ない。現象論に基づく塑性力学解析において,塑性変形挙 動は降伏条件式,流れ則および加工硬化則により表現され る。薄板材の複雑な変形挙動を記述するために,これら材 料モデルに関する数多くの研究が行われている 。 板材成形シミュレーションでは,材料の加工硬化特性と して単軸引張試験より得られた真応力-対数塑性ひずみ曲 線(以下,SS曲線)を用いる場合が多い。しかし単軸引張 試験では拡散くびれが発生するため,一様伸びより大きな ひずみ域(以下,大ひずみ域)におけるSS曲線の測定は困 難である。そのため,曲げ変形や伸びフランジ変形のよう に,変形が大ひずみ域まで進行する部位の成形解析を実施 する場合,加工硬化特性は近似式を用いた外挿とならざる を得ない。特に,軟鋼に比べ一様伸びの小さい高強度鋼板 では,近似式のパラメータ同定に用いることのできるひず み範囲(以下,近似範囲)が小さいため,大ひずみ域におけ る近似精度に大きな誤差を生じる恐れがある。 このような問題意識の中,大ひずみ域のSS曲線を測定 する方法として,拡散くびれ内部の変形を画像解析し応 力分布を推定する方法 ,圧縮試験による方法 が提案 されている。これらは,試験片に不均一な変形状態が発生 することを許容し,試験片の荷重応答や巨視的な寸法変 化(全長や断面形状など)から,逆解析的に加工硬化式の パラメータを決定する。そのため,計算条件や材料モデル などに十分注意して解析を行う必要がある。逆解析を必要 としない方法として,液圧バルジ試験 や単純せん断試 験 がある。特に,単純せん断試験は板厚減少が極めて 小さく,応力およびひずみを安定的に測定できるため,大 ひずみ域までのSS曲線を測定するための試験法として期 待できる。しかし,材料が異方性を有する場合,単軸引張 相当のSS曲線を算出するために,その材料に適した降伏 関数を選定しなければならない 。材料ごとに適した降伏 関数を同定するのは容易ではなく,簡便かつ高精度な算出 方法の確立が必要である。 そこで本研究では,単純せん断試験を用いて大ひずみ域 までのSS曲線を簡便かつ高精度に測定する方法の基礎を 論 文

tetsu to hagane

Experimental Evaluation of Work-hardening Behavior Using Simple Shear Test and Formulation of Strain Dependence of Work-hardening Exponent for Steel Sheets