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鋼構造物の製作・製造において溶接は必要不可欠なもの である。その溶接の中でも,ガスシ-ルドアーク溶接は高 能率かつ高品質という利点から広く普及している。一方, 近年の数値解析の進歩は,溶接アーク現象の定量的な理解 に大きく貢献している。特にガスシールドアーク溶接の中 でも,ガスタングステンアーク(GTA:Gas tungsten arc)溶 接では,完成度の高い数値解析モデルが登場し,熱・物質 輸送やそれに伴う溶込み形状など,生じる現象を精度よく 予測できるまでに至ってきた 1,2)。しかしながら,ガスメタ ルアーク(GMA:Gas metal arc)溶接では,未だに精度よく 予測できる数値解析モデルがなく,実際の現象に対して矛 盾のない解析結果は得られていない。この理由は,消耗電 極である溶接ワイヤ端での溶滴の形成および離脱という一 連の溶滴移行現象が複雑であり,また,大量の金属蒸気が 発生するためである。GTA溶接においても金属蒸気の発生 を伴うが,非消耗電極式であるので,金属蒸気の発生源は 母材で形成される溶融池のみであり,さらに,発生した金 属蒸気はプラズマ気流によってアークプラズマ外周部へと 吐き出されるため,アークプラズマ中心部へ侵入する金属 蒸気量が少なく,金属蒸気混入によるアークプラズマへの 影響はあまり大きくない 3)。このため,数値解析モデルの中 に金属蒸気を考慮に入れずとも,数値解析結果は実際の現 象を十分に捉えることが可能である。一方,GMA溶接は消 耗電極式であるため,金属蒸気は母材からだけでなく,消 耗電極である溶接ワイヤからも発生する。ワイヤから発生 する金属蒸気はプラズマ気流によってアークプラズマ中心 部に輸送されるため,金属蒸気混入によるアークプラズマ への影響が大きく,プラズマの放射損失,温度分布,電子密 度分布,電流密度分布,入熱密度分布等,アークプラズマの 状態は大きく変貌する 4)。最終的には,溶接熱源として重要 な熱効率を大きく変化させている。高精度な制御を実現す るためには,溶接熱源を深く理解する必要があり,アーク プラズマの温度分布を知ることは大きな意味を持つ。 溶接中のアークプラズマの温度測定では,一般的にアー クプラズマを乱さずに測定することができる分光分析法が 用いられている 3,5)。これまでの研究においても,GTA溶接 を対象とした金属蒸気の発生量の極めて少ない条件での温 度測定は行われてきた 3,6-15)。しかしながら,近年,計測機 器や計測技術の著しい発展に伴い,高速での測定が可能と なり,金属蒸気の発生量の多いGMA溶接を対象とした温 論 文

Analysis of Metal Vapor Behavior in Gas Shielded Arc Welding with Consumable Electrode by Imagining Spectroscopy