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結晶性材料の塑性変形は一般に不均一となるが 1),二相 鋼に代表される力学特性向上を図るため複合組織化した材 料 2-5)では,強度差を持つ各相間の界面において変位の連 続性を保つ必要性から,さらに著しい変形の不均一が現れ る。このような変形の不均一は塑性変形を担う転位の蓄積 や分布の状態を反映しており,マクロな力学特性の発現に 密接に関連すると考えられる。そのため,変形後の材料に ついて,透過電子顕微鏡法(TEM)等により転位構造を直 接観察しミクロな変形組織の様相を明らかにすることは, 材料全体の強度や延性の発現機構を議論する上で有効で ある。一方,材料の力学特性はマルチスケールな階層構造 に依存するため,個々の転位レベルの微小領域における変 形状態の把握に加え,結晶粒レベル,相レベルのメゾスコ ピックな視点により不均一変形の様相を把握することも, 力学特性発現を議論するには必要である。 比較的マクロなスケールで塑性変形量の場所による変化 を定量的に把握するには,これまで,表面加工や蒸着法等 によりミリあるいはミクロンオーダーのマーキングを施す 手法が主であった。また,近年では,よりミクロなスケール で,材料表面が元々有する凹凸に対応した言わば「地形」を 変形中に追跡する方法や 6),変形前後における結晶方位変 化をSEM-EBSD法で捉えることにより局所変形量を見積も る方法等が検討されている 7,8)。しかし,従来のマーキング 法では,昨今の材料の強度と延性に対する要請により結晶 粒径が数ミクロンにまで微細化された材料について,その 結晶粒内部の局所変形状況までを詳しく捉えることは困難 である。また,後者のSEM-EBSDによる手法では,結晶方位 差に基づくひずみの勾配は求まるものの,塑性変形量の絶 対値を捉えることが出来ないため,降伏以降の塑性ひずみ の絶対値を定量評価することは原理的に不可能である。こ れらに加えて,最近では,変形させた複合組織鋼に生じる 異なる相間の応力分配を中性子回折を用いて実測する研究 も進められている 9)。これはそれぞれの相における格子ひ ずみを直接捉え弾性内部応力として評価する手法であり, これにより求められた応力分配状況は加工硬化挙動等のマ クロな力学特性との関連において重要となるが,各相内部 の局所的な応力分布やひずみ分布を得ることは難しい。 本研究では,サブミクロンオーダーの微小領域における 論 文

Visualization of Plastic Strain Distribution in a Dual-Phase Steel Using High-Precision Grid-Markers