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石炭中に含まれる窒素と硫黄は,乾留時に一部が揮発分 としてガス相 (COG: Coke Oven Gas)に移行し,残りはコー クス中に保持される。よく知られているように,COGの大 部分はコークス炉や高炉などの燃料用ガスとして利用さ れ,一方,コークスの一部は鉄鉱石の焼結用原料として使 われているが,これらのヘテロ元素は燃焼時にNOX・SOX に変化する。また,COG中の含N・含S種はタール改質工 程での触媒毒になるとともに 1),液状成分由来の炭素材 料の品質を低下させ 2),さらに,コークス中のヘテロ元素 の一部は製銑プロセスにおいて銑鉄中に取り込まれる 3)。 従って,石炭の乾留過程における窒素と硫黄の行方を調 べ,ガス,タール,コークスへの分配を制御する要因を明 らかにすることは重要であり,その結果は脱硝・脱硫工程 の負荷低減や効率向上のみならず将来的な石炭原料の性状 変化やゼロエミッション化などへの対応にも貢献できると 期待される。 既往の研究に従うと,石炭中に存在する窒素の大部分は ピロール型やピリジン型といった複素環構造であり 4–7), 脱揮発分の初期過程では一部がタールとして脱離し,残 りは固相中に留まり,揮発分の二次的反応が起こり易い 条件下では,タール中の窒素 (tar-N)はHCN,NH3,N2に 転化する 8–11)。また,著者らの研究に依ると,石炭中にイ オン交換の状態で含まれるFeやCaは固相脱N2反応を 促進し ,1000°CでのN2収率は最大で60%前後に達す る 12,13)。このような含N化合物の生成に及ぼす窒素の化学 形態の影響は調べられているが 17),まだ不明な点が多い。 これに対し,石炭中の硫黄は無機と有機の形態に大別さ れ,前者は主にFeS2で存在し,この硫黄種は300°C付近か ら分解し始め,350~500°CではFeS2からのFeS生成が著し く進行する 18–20)。また,有機硫黄はチオール型,スルフィ ド型,ジスルフィド型ならびにチオフェン型といった形 態で含まれ,スルフィド型の多くは250~600°C前後で分 解する一方,チオフェン型の大部分は固相中に保持され る 19–22)。 このように,窒素と硫黄の脱離に関する研究は広く行 われているが,その加熱速度は多くの場合100°C/min~ 105°C/secの範囲にあり,上述した知見が実条件下で如何に 変化するのかを明確にすることは重要である。そこで本研 論 文

Functional Forms of Nitrogen and Sulfur in Coals and Fate of Heteroatoms during Coal Carbonization