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シオミズツボワムシ(輪形動物門,以下ワムシと略) は,複数の種から構成される複合種(Brachionus plicatilis sp. complex)で,サイズが 0.1~0.3 mm,細胞数約 800 の汽水性動物プランクトンである。伊藤1)の研究 後,今や世界中で種苗生産用餌料生物として用いられて いる。餌料生物学は大きく二分され,一つは仔魚の栄養 要求を満たすための研究で世界的にみてこれが餌料生物 学の主流である。もう一つは餌料生物種が生活環の中で 示す機能の解明を通じて,餌料としての性能向上を目的 とするもので,筆者らは後者の立場から研究を行ってき た。本研究の底流をなすのは,増養殖の現場で活躍する 人々との交流を通じて,実学的な問題点を抽出するプロ セスである。飼育困難な海洋生物の飼育を実現するため の技術開発に対し,基礎科学の立場から検討することを 特に意識してきた。また,本種は飼育が容易なため,動 物プランクトン研究のモデル生物としても重視されてい る。陸水生態学分野でワムシを中心に扱う研究者は国内 に少ないが,この分野の欧米の研究者と連携してきたこ とが,研究の質と生産性を向上させる上で効果的であっ た。すなわち,生理学,生化学の手法を導入し,諸現象 の機構を調べると共に,産業への応用を視野に入れて研 究の展開を図ってきた。ワムシ等のミクロな動物を対象 とした研究技法には仔魚研究への応用が可能なケースも ある。その経過をまとめる。

Study on physiological function of the rotifer Brachionus plicatilis sp. complex and its dietary effects for fish larvae