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象牙質形成に伴う歯髄終末毛細血管の微細構造学的変化について, 胎生19日から生後25日までのWistar系ラット上顎第一臼歯を用いて, 透過電子顕微鏡で経時的に観察した。鐘状期の初期で象牙芽細胞の分化が始まっていない時期の歯乳頭の血管は, 横断面で数個の内皮細胞からなる, 細胞壁が薄く細胞小器官に乏しい連続性の毛細血管であり, 歯乳頭の内層で内エナメル上皮からかなり離れた領域にあるが, 歯乳頭細胞が象牙芽細胞への分化を開始するようになると, 歯乳頭表層の終末毛細血管は次第に象牙芽細胞層に近づき, 象牙質の形成が始まる頃には象牙芽細胞層の直下に位置するようになる。その後, 石灰化象牙質が一層形成され, エナメル質の形成が開始されると, 終末毛細血管は管腔を狭めながら象牙芽細胞層に進入を開始し, 象牙質形成の進行とともに象牙前質からおよそ5 μmで, terminal-webの近傍に位置するようになる。このような血管の内皮では小胞の増加とともに隔膜を持った窓の形成が見られ, その後連続性毛細血管は次第に減少して有窓性毛細血管の割合が増加する。これら終末毛細血管の位置的および微細形態学的変化は, 1つには象牙質の形成と石灰化を活発に行っている象牙芽細胞の高度な代謝要求と密接に関係しているものと思われるが, 有窓性毛細血管の出現, および増加の時期を考えると, 象牙質形成のみではなくエナメル質形成にも関与しているのではないかと推測される。

Ultrastructural changes of terminal pulpal capillaries in the developing molar teeth of rats.