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青い鳥の羽から観測される角度依存性のない構造色の発 色メカニズムに関する議論は,実に一世紀以上にも及ぶ . 青い鳥の羽は,羽の中に青色の色素が存在しないという実 験事実から,19世紀の後半には,微細構造が原因で発色 していると推測されていた.しかし,どのようなメカニズ ムで発色しているかは不明であった.19世紀における研 究では,電子顕微鏡などもなかったため,微細構造と色と の相関を論じることは困難であったからだ.また,光の波 長よりも小さな微細構造を有する物質による光の散乱に関 する知見も充実していなかったので,自然界で見られる 様々な構造色のメカニズムの解明には手を焼いていたこと も当時の多くの文献から伺い知ることができる. ところが,19世紀後半以降に説明されたチンダル現象 やレイリー散乱,もしくはミー散乱などの微粒子による光 の散乱現象が理解されるようになると,これらの現象を用 いて青い鳥の羽の発色メカニズムを理解しようという試み が盛んに行われるようになった .さらに,Masonと Bancroftが,当時の最高級の顕微鏡を用いて“青い鳥の羽 の中に300 nm前後の細孔が多数空いていることを観測し た”という報告によって,青い鳥の羽の発色現象は,レイ リー散乱が原因であると強く印象づけた.つまり,光 の波長よりも小さな微粒子は,レイリー散乱によって光の 波長の4乗に反比例して光を散乱する性質が強くなるた め,羽の中に存在する300 nm前後の細孔が微粒子の様に 振る舞い,可視光の短波長側の光を強く散乱した結果,羽 が青く見えるようになると解釈されたのである.けれども, このことに対して,1930年のノーベル物理学賞受賞者で あるRamanは,1934年に掲載された彼の論文中で疑問を 投げかけていた.Ramanは,自らの多くの実験によっ て,本来青色に見えていた羽から,様々な条件の下では青 色以外の色が観測できるという結果を得ていたからであ る.彼は,青い色の鳥の羽の表面にある微細な構造による 光の干渉,もしくは,可視光の波長に比べてさほど小さく ない細孔による光の散乱が関与していることを示唆してい た.しかし,Ramanの指摘にもかかわらず,レイリー散 乱やミー散乱などの非干渉性の散乱が発色の原因であるとい う学説を支持する研究者は相変わらず多勢を占めた. その理由は,20世紀前半に開発された電子顕微鏡によっ て明確になった鳥の羽にある微細構造が,サブミクロンサ イズの細孔がランダムに空いた状態であると判断されたか らだ. 一方,このような状況の中でも,20世紀の後半になっ て,Dyckは,青色を示す鳥の羽の反射スペクトルの可視 光領域に明確なピークが観測されることから,非干渉性の 散乱ではなく,干渉性の散乱によって構造発色していると

Angle-independent Structural Coloured Materials inspired by Blue Feather Barbs