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高分子の架橋反応は,高分子鎖同士を結びつけ,三次元 構造を形成させるものであり,化学的架橋と物理的架橋に 大別される.化学的架橋は,高分子鎖同士を結合するため に,共有結合の形成を利用する.一方,物理的架橋の場合, 高分子鎖を結びつけているのは,共有結合よりも弱い可逆 的な相互作用,例えば,疎水性相互作用,イオン相互作用, 水素結合,あるいは,配位結合である.最近になって,化 学的架橋や物理的架橋とは異なる,新しい架橋形態を有す る三次元高分子が出現している.その構造例を図1に示す. このような三次元構造においては,環状部位への糸通しに よって高分子鎖が拘束されている.すなわち,高分子鎖間 に共有結合をはじめとする化学結合が存在しないにもかか わらず,三次元構造が形成されている.この新しい架橋高 分子の最大の特徴は,架橋点が移動できることである.架 橋点が動くことで,高分子鎖の運動性が高く保持されるの で,高い膨潤性や優れた耐衝撃性などの特性が発現する. すなわち,可動性架橋を導入することで,従来の架橋高分 子とは異なる物性の発現が期待できる.本総説においては, 環状部位を架橋剤に用いる可動性架橋高分子に関し,著者 らの研究を中心に紹介させていただく.

Polymer with Movable Cross-linking Points Using Cyclic Moiety as Cross-linking Agent