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1.ま えがき 洪水時に撮影きれた河川の航空写真は,洪 水について非常に多くの情報を有しており,流 況,表 面流速ベ クトル,表 面等流速線等の情報は洪水流の流況解析や河道計画策定に数多く利用きれてきた。1),2)航 空写 真情報を河道計画に反映きせた例としては,洪 水流流線解析に基づいた低水路法線形の検討,死 水域の判読 による不等流計算の精度向上,水 衝部位置の判断,水 制や護岸の効果の判断,模 型実験の信頼性向上のため の資料等がある。このように,航 空写真は河川技術,河 川工学に新しい視点を導入し,技術の発展に貢献し てきた。しかし,従 来の撮影法では,水 位に代表される高さに関する精度が低いため,表 面流況に関する情 報を高さに関する情報と組み合わせることができず,こ のことが,航 空写真の河道計画への利用をざらに進 めるうえでの大きなネックとなっていた。 本研究の目的は,従 来の航空写真撮影法の問題点を明らかにし、これらを改良することにより表面流速に 加えて水位,水 面勾配,高 水敷の植生分布など高さや広がりに関する精度の高い情報を得ることにより,航 空写真の河道計画への利用範囲を従来よりも拡げようとするものである。提案する方法を涸沼川の洪水観測 に適用し,その有効性を検討する。 2.従 来の撮影法の問題点とその原因 2-1従 来の撮影法の問題点 従来の航空写真の撮影は,縮 尺が1/10,000程 度,撮 影高度が1,500m,オ ーバーラップ率が80~90%で 行 なわれており,このため航空写真利用のうえで以下のような問題が生じている。 (1)洪 水流の解析の精度には,流 量とともに水面勾配の精度が影響する。航空写真から水位縦断変化を素早 く精度良く読み取ることができれば,こ の問題は著しく改善ざれる。現在の撮影法では,地 物の高さや水位 の読みとり精度が悪く,特 に写真から読まれる水位の信頼性が低いため,利 用に供することはできない。 (2)撮 影の飛行高度が高いため,天 候や時間の制約をうける。すなわち,河 川の上空に雲や霧がかかってい たりすると撮影できない。特に,撮 影は主として流量ピーク時付近をねらって行なわれるため,天 候の制約 を受けやすく,雲 がたれこめるような場合,及 び急流河川のように出水が早い場合には,洪 水流航空写真の 撮影の可能性が小きい。 (3)河 川によっては河道内の植生の分布やこれらの流れに対する抵抗要素としての影響を考慮しなければ洪 水流解析の精度向上が期待できない場合がある。平水時に,河 道内の植生分布やこれらの標高,分 布を航空 写真から読み取り洪水時の航空写真と併せて利用すれば,洪 水流解析精度が著しく高まる。 2-2問 題点の原因 標高に関する測定の誤差は,地 形測量の場合,撮 影高度の1/5,000~1/7,000程 度と言われている。これに 対して洪水時の航空写真撮影では,以 下の理由より水位等の測定精度が低下する。 (1)現 在の洪水流航空写真測量では,地 形測量のようにあらかじめ基準点を設置しておく事は行わず,1/2,5 00平面図から写真画像と対応する明瞭な地物をえらびこれを基準点として対地標定を行う。このため1/2,5 00平面図の作成年度および写真画像と対応する明瞭な地物が少ないこと等が原因となって,高 さ,水 位の測 定精度が悪くなる。

Improvement of Aerial Survey Technique for Analysis of Flood Flow