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1. はじめに ダム貯水池における貯留水の量的 ・質的挙動は、移動変換現象に基づく流体力学,熱 伝達,反 応工学,物 質移動などが複雑にからみあった境界領域分野の現象であり、これらの解析には連続体力学の考えが必要と なってくる。従来より貯水池水理を連続体として取り扱い、その数値解析モデルの作成と数値シミュレーシ ョンに関する研究が鋭意行われてきた。このような貯水池水理の数値解析手法には、図-1に 示すように微 分方程式を直接解いてゆこうとする解析的方法と、微分方程式に対応する汎関数の極値化の条件から微分方 程式の近似解を求めようとする直接解法の二つの体系に大別することができる。このうち、差分法に基づく 数値解析モデルは既に各地の貯水池、湖沼などに適用され、その妥当性 ・実用性が概ね確認されている1)2)。 一方、有限要素法(FEM)な どの直接解法による数値解析モデルも近年湖沼への適用などが検討されてい る3)。当所においても、これら手法の貯水池水理解析への適用性について従来より検討を重ねてきた4)5)。 本報は、同一の実ダム貯水池に有限要素法、差分法に基づく数値解析モデルを適用した結果より、それぞ れの手法の特徴、長所短所などについて現時点で得られた知見を報告し、今後の貯水池水理解析の参考に資 するものである。

Two-Dimensional Numerical Analysis Models of Density Flow, Temperature and Turbidity in Reservoirs