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海岸侵食が各地で慢性的な問題となっている.その誘 因は様々ではあるが,直接的な原因は侵食と堆積の漂砂 バランスが不均衡の結果生じている.日本海側沿岸の冬 季季節風や太平洋側沿岸に来襲する台風により生じる侵 食性の波浪は,前浜の粗砂を沖向きへ輸送する.河口海 岸で多くみられる,前浜の粗砂と外浜の細砂からなる複 合海浜断面形状の海岸では,前浜から沖方向へ流出した 粗砂は,外浜で細砂の下へ潜り込むため侵食性の波浪に よって海浜の細粒化が進行する(山下ら,2004).そう した高波浪時の漂砂の移動に係わる侵食海岸における海 浜流場の実態把握は重要であると考えられるが,観測の 困難さから現地スケールでの十分な検証が行われていな いのが実情である. 南アルプスに源を発する大井川の河口海岸である駿河 海岸は,大井川河口左岸側にできた大井川港の築堤とそ の延伸の影響により,河口の左岸側から焼津に至る海岸 で著しい海岸侵食に悩まされている.こうした海岸侵食 に対応するため,1960年代から異型ブロックによる離岸 堤の建設が進められてきた.これに加えて1980年代から 我が国初の有脚式の離岸堤が設置され,また,大井川港 西側防波堤に堆積した土砂を侵食域に投入するサンドバ イパスが行われている.これまで,こうした駿河海岸で の土砂収支や侵食対策事業についての効果を検証する 様々な研究が行われている(例えば,宇多ら,1989;河 田ら,1994;国枝ら,2002;和田ら,2006;鈴木ら, 2009). 本研究では,侵食が進む河口海岸である駿河海岸にお いて海浜流場の観測を夏季および春季に試みた.観測は 透過型の有脚式離岸堤と従来型のブロック式離岸堤の間 で行われたが,観測結果と波浪等の資料と合わせて流速 変動の解析を行った結果,離岸堤の構造の違いにより生 じたと思われる2種類の異なる特徴的な海浜流場を確認 したためこれを報告する.

Field Observation for Nearshore Current around the Leg-type Detached Breakwaters