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沿岸部における津波挙動は,地形の影響を受けてその 特性が大きく変化する.行政担当者が地域の視点から津 波防災を考えるため,あるいは,住民が津波襲来時に適 切な判断を行うためには,沿岸部での地形を考慮した津 波挙動に関する情報を把握しておくことが重要である. 2009年に発生したサモア諸島津波では,筆者らが災害 後に実施した現地調査により,島を取り囲む幅の広いサ ンゴ礁のリーフ上で津波が砕けたことが,住民の避難行 動や被害程度に影響を与えていたことが明らかになった (柴山ら,2010).サモア独立国ウポル島はサンゴ礁のリ ーフに囲まれており,リーフの幅が特に広い地域(図-1 (a),Satitoa)では,これらのリーフ上で波が砕けながら 進んでくる様子がはっきりと見えた.沿岸部の住民はい つもの波とは違うと感じ,いち早く危険に気付き,安全 な場所へと避難することができた.この災害においては, 震源がサモア諸島の南約200kmと比較的近くに位置し, 第一波襲来までには20分程度しか時間がなかったため, 住民自らが津波の危険性を察知し,適切な避難を行う必 要があった.また,リーフの広がる入り江の奥に位置し ている地域(図-1(b),Faleaseela)では,津波は遠くで 砕けて,徐々に水位が上がってくるような状況で1回襲 来したのみであったという証言が得られており,リーフ 上で波が砕けることによって津波のエネルギーが減衰す る効果も確認された. 本研究では,リーフ上のような広範にわたる浅海域で の津波挙動の特性を明らかにすることを目的とし,砕波 の乱れを含めた挙動を再現できる乱流モデルを用いた数 値解析を行った.

Numerical Analysis of Tsunami Propagating on Wide Reef Platform Using Turbulence Model