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台風の襲来にともなう高潮・高波災害の予測には,台 風強度や経路の予測が必要であるが,極値統計解析に耐 えうる信頼性が保障された観測資料は少なく,特定地域 に上陸した台風となるとさらに資料数が少ない(本稿に おける「台風」は全球の熱帯低気圧を意味する).そのた め,台風災害に対する防災施設の設計要件を決定するた めの台風条件を,現在までの観測結果のみを用いて極値 統計解析から推定することは困難である.現在までの観 測資料を基に,その発生・発達時の統計的特性を同定し, それを満足するような確率分布を用いてMonte-Calro法 (以下MC法)により逐次の台風の発達過程を計算するモ デルは,確率台風モデル(Stochastic Tropical cyclone Model)と呼ばれる.これまでのSTMに関する研究は2種 類に分類可能である.端野・桑田(1987),山口ら(1995), 橋本ら(2001),河合ら(2006)は自己回帰モデルを提案 し,また國富・高山(2005)や安田ら(2010)は各地点 における台風特性の時系列相関に着目し,台風特性とそ の変化率との結合確率密度関数(結合PDF)を用いたSTM を提案している.これらの研究では,日本への上陸個数 に特化しており,季節変動や主成分解析を用いたチュー ニングがされているが,全球規模に拡張する場合の一般 性に欠ける. 中條ら(2011)は全球を対象とした時系列相関型の確 率台風モデル(Global-STM)を提案しているが,各台風 の諸量を表す特性値の平均値については概ね再現できた ものの,海域毎の頻度分布については改善の余地を残し ていた.頻度分布の再現性の問題として,結合PDFの近 似に際して単峰分布を仮定していたために,季節変化や 偏西風などの要因による成長過程の異なる台風が混在す る台風資料の結合PDFを十分に表現できていない可能性 が挙げられる.このような背景から、本研究ではクラス ター分析を用いて結合PDFに2峰分布を導入することによ り,台風諸量の頻度分布の再現性向上を図った.

Global Stochastic Tropical Cyclone Model Based on Temporal Correlation Using Cluster Analysis