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(1)調査概要 津波痕跡調査は,九十九里海岸(千葉県,太東~飯岡) および鹿島灘海岸(茨城県,波崎~大洗)の二つ砂浜海 岸を対象として行った.図-1(a)には対象地域の標高お よび周辺海域の水深,図-1(b)には対象地域の河川流路 を示している.二つの砂浜海岸は地形的に海岸砂丘を有 する点で共通するが,鹿島灘海岸には流入河川がほとん どないのに対し,九十九里海岸では小規模河川の河口部 が多く,海岸砂丘陸側に低湿地が広がっている地域があ る.また,海底地形については,九十九里海岸の方が鹿 島灘海岸よりも水深20m以浅の浅海域が広く比較的遠浅 な地形となっている. 現地調査は2011年3月15日,18日,19日に,対象海岸 を南北に分けて二つのチームにより実施した.茨城県神 栖市より北側ではVRS方式のRTK-GPS測量により,南 側ではオートレベルにより痕跡高の計測を行った.後に オートレベルによる計測値は,計測時刻の潮位を差し引 いて平均海面上(T.P.)の高さに補正することで,RTKGPSによる結果と基準を合わせた.図-1(b)に全計測点 (計67点)を,遡上高・浸水高の計測別に示した. (2)津波高さの空間分布 図-1(c)は計測された津波浸水高および遡上高を緯度 方向にプロットしたものである.津波高さは津波到達時 の潮位を基準に示すことが一般的であるが,後述の通り 今回の津波は継続時間が長く,各所における最高津波高 さが何波目の津波によるものか判然としないため,結果 は平均海面(T.P.)上の値で示している. 対象地域の津波痕跡高さは概ね4~8mの間に分布して おり,全体としてはより震源に近い北から南に向かって 小さくなる傾向が認められる.津波痕跡高さが特に大き かったのは,鉾田市北部の海岸と銚子半島を挟んだ南北 の海岸であり,場所によっては8mを越える遡上高さが 計測されている.また,弓状の海岸線を有する九十九里 海岸および鹿島灘海岸では,それぞれ中心部で高さが低 くなる傾向が見られる.こうした全体的傾向から逸脱し 土木学会論文集B2(海岸工学) Vol. 67,No. 2,2011,I_296-I_300

Coastal Damages in Ibaraki and Chiba Prefectures due to 2011 Tohoku Pacific Ocean Tsunami