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本州最南端に位置する和歌山県串本町は,古くから津 波の来襲により大きな被害を受けてきた.例えば,1946 年の昭和南海地震による津波では,死者9名,負傷者16 名,家屋被害1001棟の被害を受けている.この地震は, 南海トラフ沿いで発生した典型的な海溝型地震であるが, 東南海地震と南海地震が連動あるいは同時に発生するこ とも多く,約100年〜150年間隔で発生している.更には, 東海地震との連動による巨大津波が来襲する可能性も検 討されている. 近い将来,起こり得るこのような地震津波から人命や 財産などを守るため,津波の規模に応じた防災対策が求 められる.発生頻度の高い津波では,防災施設によって, 人命や財産などを守ることを目標とする.しかし,数百 年から数千年に一度のような発生頻度の極めて低い津波 の場合,防災施設を越流したとしても人命は守ることを 最優先とする.そのためには,避難を基本としたソフ ト対策が求められる.2010年チリ中部沿岸沖地震による 津波では,岩手県に大津波警報が発令され,津波浸水想 定区域内の避難率は約6割と津波に対する防災意識は比 較的高いと思われた.しかし,2011年東北地方太平洋 沖地震による津波では,市町村によっては,人口の1割 弱が犠牲となり,沿岸全域でも死者・行方不明者5,847 名に及んでしまった.和歌山県においても大津波警報 が発令され,串本町袋湾において1.4mの津波高を観測し た.このような巨大津波から身の安全を守るためには, 今回の津波での避難行動を把握することは重要である. そこで本研究では,2011年東北地方太平洋沖地震津波 における和歌山県串本町における住民の避難行動を把握 するため,アンケー ト形式によるヒヤリング調査を実 施した.また,昭和南海地震から 60 年以上経過し,風 化が懸念されるが,その被災経験が若い世代に伝承され ているのか,その経験談を避難行動に活かされているの かを明らかにする.さらに,今回の津波において避難に よる成功事例から,逃げることに対するソフト対策の重 土木学会論文集B3(海洋開発), Vol. 69, No. 2, I_37-I_42, 2013.

SURVEY ON EVACUATION AGANST 2011 TOHOKU EARTHQUAKE TSUNAMI IN KUSHIMOTO TOWN IN WAKAYAMA PREFECTURE