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純便益最大, 環境制約を考慮に入れた費用最小化問題 というような単一目的評価問題としてでなく, 港湾 ・道 路等の土木施設計画を総合評価問題として認識すること が要請されている. 実際, 土木施設計画は, 自然 ・社 会 ・経済および環境への影響が大きく, また相互に関連 し合っている. 一一般には, 影響範囲を限定して, 評価要 因を探索列挙し, さらに, 属性, すなわち評価項目, 評 価指標を選択する. そして, 計測された指標の値, すな わち指標値と, 外生的に与えられた基準値と対照させた り, あるいは, 評点, 貨幣値もしくは効用値等評価値に 変換して, さらに計画を総合的に評価する. この作業過 程では, 項目の列挙もれ, 指標値の計測誤差, 評価基準 の個人差等の要因に基づく不確実性が混入する. この不 確実性の処理としては, 評価指標値の計測精度を高め, また総合評価への影響の多い評価項目の列挙もれがない こと, 評価項目間の独立性が保持される等を確かめ, 信 頼性を高める一方, 不確実性に対する感度分析を行った り, 弾力性をもった計画代替案を作る等の方法がとられ ている. 本研究では, 計画主体によって実行可能な有限個の代 替案が用意され, これが有限個の評価項目によって複数 の評価者によって総合評価されるとした場合の問題を扱 う. 評価項目の列挙, 各評価項目の評価値が, 各代替案 に対して与件として与えられていても, この評価値を元 にして得られた各代替案の総合評価値が, 評価者によっ て異なることがある. これは, 各評価者が提示された代 替案について, 評価項目の重みをそれぞれの立場から異 なって付与するためと考える. このとき, 計画主体は総 合評価値の大きい代替案を提案したく思うが, 評価者の いずれかは自分にとって好ましくない代替案を否定しよ うとして総合評価値を小さくしようと行動する. 本研究では, この点に着目して, 評価者を全体(こ れ を評価主体という)と して考えたとき, 代替案の出され 方で評価項目の重みが評価主体の内部でゆれ動くものと 仮定し, これを計画主体と評価主体との問の零和2人 ゲ ーム問題と認識した. なお, 効用値等の評価値の求め方 については, 今後の課題とすべき点もあるが, 2. で述 べるように効用理論等により評価指標値からこの評価値 を求めることが開発されている10). したがって, 本研究 では深く入らない. この場合, 評価値は評価者によって変わらないとして いる. これは, ある評価項目に関心をもつ, あるいは専 門的知識を有する評価者によって評価値が付与されたと き, これが評価主体のつけた値であり, これを計画主体 の評価値とする暗黙の仮定をおいていることになる. こ れは, 学校教育の場において各教官が行う科目の評価が 当該校の評価になることと同じ考え方である.

A METHOD OF SYNTHETIC EVALUATION FOR ALTERNATIVES WITH UNKNOWN WEIGHT IN EVALUATION ITEMS