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近年,鉄道などの公共交通機関でICカード乗車券(交 通系ICカード)の導入が進んでいる.交通系ICカードの 乗車履歴データ(以下ICデータと呼ぶ)は,各鉄道会社で 管理されており,鉄道利用者に対するマーケティング等 への活用が期待されている. ICデータの特徴には,1ICカード(利用者)毎の利用 履歴が記録されていること,2改札通過時刻を1分単位 という詳細な時間解像度で記録していること,3長期に わたる改札通過の観測データが収集できること,4入出 場記録が完結されなければ利用者は継続利用できないた めデータの欠損が少ないことがあげられる.これらの特 徴よりICデータは,時刻毎の利用者の鉄道利用の状況の 詳細な分析や,利用者行動の長期にわたる変動を分析す るのに適したデータであるといえるだろう. これまでの鉄道利用者の行動を推定する研究では, 大都市交通センサスによるデータを用いる方法が主流で あった.しかし,センサスを用いた方法では,都市 全体の鉄道旅客流動を把握することが可能である半面, 日々の変動をとらえることはできない.一方,各車両の 応荷重の履歴データや自動改札機の通過履歴によるデー タを用いることで日々の旅客の変動を推定することも可 能になってきている.これらの手法では,個々の車 両の乗客数や駅間を移動する乗客数の日々の変動を捉え ることが可能である.しかし,これらのデータを用いた 方法でも,各利用者を識別した上で変動を捉えることは できない.これに対し,ICデータでは,利用者毎の乗降 駅と乗降時刻を知ることができる.その情報から,利用 者毎に乗車列車を推定できれば,様々な利用者層での列 車選択の特性を明らかにすることが期待できる. 本研究の目的は,ICデータと列車ダイヤを用いて,

Estimation of Passenger's Train Choice in Railway Network with Smart Card Ticket System