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通常の公共財を整備する場合,便 益を享受する家計が 整備費用を負担すべきであるという受益者負担の原則が 適用可能である.し かし,ナ ショナルミニマムの達成に 対して受益者負担の原則を常に適用すべきかという問題 に関して慎重な検討が必要である.な かでも,高 齢者や 機能障害者の活動支援施設の整備に対して,受 益者負担 の原則のみを適用することには問題がある.む しろ,健 常者も含めて国民1人1人 が施設整備に対して持つ支払 意思額を把握するとともに,あ るべきバリアフリー社会 の具体的な内容に関して議論を行う必要がある. バリアフリー施設の経済便益を計測するためには,高 齢者や機能障害者が享受する経済便益だけでなく,施 設 整備費用の実質的な負担者である健常者の支払意思額を 把握することが重要である.健 常者は高齢者や機能障害 者の活動を支援することに対して利他的な動機に基づく 支払い意思やナショナルミニマムが整備されることに対 する倫理的な支払い意思を持つだろう.ま た,健 常者自 身が将来,バ リアフリー施設を利用する可能性があるこ とに対して支払い意思を有しうる1). 従来より,家計が利他的動機に基づく支払い意思を持 つ場合,利 他的動機を含めて推計した便益には2重 計算 が生じることが指摘されている2)-5).これに対して,松 島ら1)は家計の支払意思額を利己的動機,利 他的動機に 基づく部分に分解するとともに,利 他的動機に基づく支 払意思額の2重 計算を回避しうる支払意思額指標を提案 している.CVM (Contingent Valuation Method)に よる 支払意思額の推定バイアスに関しては膨大な研究が蓄積 されているが,2重 計算バイアスに関してはそれほど研 究がなされていない. 本 研究 では,CVMを 用 いて 家計 の利他的 動機 に基 づ く支 払意思額 を計測す る調査方法 を提案す る.具 体 的 に は,利 他的動 機 に基づ く支払意思 額 を計 測す る際 に潜在 的に生 じうる支 払意思額 の2重 計測 を避 けうるア ンケー ト調査票 を設計す る方法論 を提案す る.以 下,2.で は CVM調 査 にお け る支払 意思額 推計バ イ アス に関す る既 往 の研究概 要 を整 理す る.3.で は支払 意思額指標 の定 式化 を行 い,支 払意思 額の計測値 が有す べき 内的整合性 の問題 を考察す る.4.で はCVM調 査 にお ける支払意 思額の2重 計測バイ アス とそれ に対 する対処方 法につ い て考察す る.5.で は適用事 例 を示す.

CONTINGENT VALUATION INTERVIEW SURVEY ON WIILINGNESS-TO-PAY BASED UPON ALTRUISTIC MOTIVES