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交通は活動の派生需要であるという概念に基づいたアク ティビティベーストアプローチの視点から、個人の交通行 動の意思決定構造を明らかにすることを目的とした研究が 近年盛んに行われている。個人の詳細な制約条件を考慮し た活動スケジュール決定モデルの開発と、活動スケジュー ルの生成過程に着目した研究とが、主な柱となっている。 一方、携帯電話、電子メール、インターネットなど、近年 の情報通信技術の急速な発展と普及により、人々の活動パ ターンは大きく変化している。これらの情報通信機器を利 用して、他人とコミュニケーションを行うことや、各種情 報を入手することも、一つの活動と考えることが可能であ り、情報通信利用を含めたアクティビティ分析を行うこと が、情報通信が交通行動に与える影響を把握するために有 効な手法であると考えられる 1)。 情報通信技術の発展・普及とともに、従来から情報通信 により交通が代替されるのか誘発されるのかという議論が 行われている[]。テレワーク、テレショッピング、テレバ ンキング、遠隔医療などのアプリケーションは、従来交通 を伴う必要があった活動を通信により代替するものである。 しかし、他人とのミーティングを伴う活動については、通 信により交流が活発になることで、交通を誘発する可能性 がある 2)。テレコミューティングについても、総移動距離は 減少するが、逆に私用目的のトリップ数は増加し、自動車 トリップ数が増加するという結果も報告されている 3), 4)。ま た、情報通信の利用は、交通行動や活動スケジュールの意 思決定に影響を与えるものと考えられる。例えば、ITS の 進展によるカーナビゲーションや歩行者ナビゲーションの 高度化と普及は、リアルタイムで詳細な交通情報や活動機 会に関する環境空間情報を入手することを可能とし、出発 時刻選択、経路選択、目的地選択などの動的な交通行動の 意思決定を促進する。また、他人との調整を伴う活動に対 しては、事前に相手と直接会うことで時刻や場所の決定が 行われることもあるが、電話や電子メールの利用は、活動 スケジュールの動的な意思決定を活発にしているものと考 えられる。しかし、情報通信が交通行動に与える影響を予 測するためには、従来のパーソントリップ調査やアクティ ビティダイアリー調査で得られるデータのみでは、不十分 であることが認識されている 1)。 以上の背景から、本研究では、アクティビティベースト アプローチに基づき、学生を対象に行った一週間の活動日 誌調査と通信履歴調査で得られたデータを用いて、情報通 信の利用実態を把握し、情報通信が活動スケジュールに与 える影響を考察する。また、情報通信を考慮したアクセシ ビリティの概念に基づき、他人とのコミュニケーション活 動のアクセシビリティに関する分析例を示す。最後に、今 後の情報通信の影響を分析する上での、本研究で提案する 手法の応用可能性に関する展望をまとめる。

The Effects of Using Telecommunications on Individual Activity Schedule