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TIG(タングステン・イナートガス)溶接は,主な溶接プ ロセスの1つとして,特にステンレス鋼,チタン合金および 非鉄金属などの高品質用溶接として産業界で広く使用され ている.しかしながら,レーザ溶接,電子ビーム溶接,プ ラズマ溶接のような高エネルギー密度プロセスと比較する と,TIG溶接の溶込みは浅く,一パスで溶接することの出 来る構造物の厚さには制限があり,生産性が低いことが問 題となっている.また,これまでいくつかの研究で,ステ ンレス鋼およびその他の材料において,不純物の濃度が変 化することにより,溶込み形状が変化すると報告されてい る.TIG溶接の生産性向上のために,深い溶込み形状を 維持しつつ,自動で正確な溶融池形状を制御する手法を確 立することは長年の課題である.1960年代にパトン溶接研 究所によって最初に提案された A-TIG プロセス(Active Flux TIG)は,1980年代以降,多くの研究者によって注目 された.しかしながら,A-TIGプロセス用のいくつかのフ ラックスが既に商業的に利用可能で,産業界で適用されて いる現在においても,A-TIGのメカニズムについては依然, 共通の合意に至っていない.A-TIGのメカニズムとして, これまで 4つの可能性が報告されている.第 1のメカニズ ムは,TIGキーホールモードと呼ばれているメカニズムで, フラックスによって溶融池の表面張力が減少し,アーク圧 によって溶融池表面が沈下しやすくなることにより,そこ にアークが集中するというものである.第 2は蒸発したフ ラックス分子によってアークが緊縮するというメカニズ ム,第 3は,溶融池内の界面活性元素がある臨界値を超え た場合に,表面張力の温度係数が負から正への変化するこ とによって引き起こされるマランゴニー対流の方向の逆転 現象によるものである.また,最近,Lowkeらは, 絶縁モードと呼ばれる別のメカニズムを提案している. 一方,TIG溶接の効率向上のためには A-TIGメカニズム の理解は重要である.そこで,著者等は活性フラックスと して種々の酸化物を用いてステンレス鋼の溶接を行い,酸 化物の種類が異なっても,常にマランゴニー対流の向きの 逆転が生じ,これが A-TIG溶接の主なメカニズムであるこ とを明らかにした.また,これらの実験結果に基づい て,試料上に酸化物フラックスを塗布する代わりに,不活 性な Arシールドガス中に O2や CO2のような活性なガスを 少量添加し,その影響を系統的に調査した.その結果, [溶接学会論文集 第 25巻 第1号 p. 196-202 (2007)]

Effect of Oxygen Content in He-O2 Shielding Gas on Weld Shape in Ultra-deep Penetration TIG Welding