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顎 口腔系機能の主体 をなす顎運動 は,主 として咀嚼筋 の緊張 また は収縮 によってお こるもので あり,そ の筋の 活動状態 を客観的 に評価する方法 として,筋 電図(electromyogram,EMG)は す ぐれた機能検査で あり,古 く か ら広 く利用 されてい る.ま た,こ のEMGに よって記 録 され た筋活動 を定量的 に観察する方法 としては,こ の 筋活動量の絶対値や積分値の測定,そ の活動の時間的要 素や リズム性 の分析,各 筋相互のcoordination pattern の検討,さ らにはパ ワースペ ク トルの解析 などがあげ ら れ,様 々な角度か らの研究報告1~20)がなされている.し かも最近の コンピューターの著 しい普及に伴 って,そ の EMGの 解析は さらに容易 とな り,咀 嚼時EMGや 咬み しめ時EMGな どにおける筋活動の より詳細 な波形分析 がます ます増加傾向にある と同時 に,顎 口腔系機能障害 患者 の病態生理学的診断やその治療効果の判定基準 の一 助 としての利用が可能にな りつつある.し か し,他 面で はその実態 につ いて まだ不明な点 が多 く,実 際の臨床 に おいて も試行錯誤 の域 を出ていないのが現状である、 現在,著 者 らが顎 口腔系機能障害患者 に行 っ て い る Bite plane療 法において,EMGの 経時的変化 を分析す るこ とは,そ の診断 と治療効果 を知 るばか りでな く,各 咀嚼筋の活動様式の経時的変化 を客観的 に観察す る うえ で臨床的に意義のある重要 な課題 である。 前述のEMG解 析法 の中で,パ ワー スペ ク トル解析は 主 として筋の疲労現象を解明す るために用い られ るもの で,一 般に筋 の疲労に伴 い表面EMGの パ ワー スペク ト ルは低 い周波数帯 域にシフ トする といわれて い る18~19, 21~24) .林 ら24)によれば,EMGパ ワー スペク トル分析 は 咀嚼系 の病態生理学的診断のパ ラメー ター として応用 で きる と述べてお り,ま た この筋疲労に よるパ ワー スペク トルのメカニズムについて,山 田ら23)によれば,疲 労に 伴い運動単位の発火が低い周波数帯域で同期 して くるこ とによ り表面EMGに もそのシフ トが観察され たもの と 報告 している. しか し,こ れまでBite plane療 法 中の長期 にわた る パ ワー スペ ク トルの変化や この解析 における治療効果の 客観的評価 の有用性についての報告 はまだみ られ ない. そ こで,本 研究 は顎 口腔系機能障害患者 を対象 として, Bite plane療 法 中において記録 した閉 口筋EMGの パ ワースペ ク トルの分析が,顎 機能障害の病態生理学的診 断な らびにその治療効果の客観的評価 の一助 とな りうる か どうかを検討す る目的で,顎 機能障害患者 を被験 者 と して,Bite plane療 法 の過程における最大咬み しめ時の EMGを 記録 し,パ ワー スペク トル分析を行 い,筋 触診

Power spectral analysis of the surface electromyogram of TMJ patients undergoing bite plane therapy.