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わが国の高齢化は歴史上類を見ない速度で進行して おり,年々医療を必要とする高齢者は増加の一途をた どっている.これと共に,わが国の年間死亡者数は 2011 年には 120 万人であったが,35 年後には 170 万人に達するとされている(図 1).高齢化に伴い, 当然のことながら一人が有する併存疾患数も増え,医 療単価は増大し,一方ではより質の高い医療や福祉が 求められるようになる.結果的に,時と共にどんどん 多くの人的資源を要することになる.さらに人口バラ ンスの推移によって支えられる人々は増加する一方, 支えなければならない壮年,若年層の人々は減少し, 医療や福祉に従事する人口も減少の一途を辿らざるを 得ない (図 2).加えて,医療施設数は年々減少して おり,特に医療施設数はこの 10 年間で 1,000 以上の 施設がなくなり,およそ 8,000 施設にまで減少して いる.これだけでも大変な将来であるが,さらにもう 一つ,わが国の医療の発展とともに人々が最後の時を 過ごす場所が自宅から医療施設へと大きく変遷してき ている(図 3).わが国の生活スタイルが大家族か ら核家族へと推移してきたこともあって,質の高い医 療の享受の困難さだけでなく,人的資源が減少する中 いったい誰が高齢家族の介護や看取りをするのか.ま たそれにかかる経費をどのように捻出するのかなど, より明確に老後の暮らしを危惧しなければならない. しかも平均寿命の延長と共に定年退職後に過ごす時間 が著しく長い,超高齢時代に突入していこうとしてい る.いや,既に突入している.すなわち,確実なことは, 現在でも既に行き場のない患者さんが少なくなく,自 宅での孤独死が急増しているにも関わらず,将来わが 国はさらに 50 万人(170 万人−120 万人)の患者さ んが安心して医療を受ける場所,あるいは人生を全う する場所が存在しなくなる事態に直面している.現 在このときにこの 50 万人の患者の命を救うことを考 えずに,安心かつ安定した医療体制と幸せな社会を享 受する未来は決して訪れないと考えるのである.

National Management Linking Acute Medical Phase to Home Care and Life Support