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世界保健機関(WHO)が発表した報告書「Dementia: A public health priority」(2012 年)によると,世 界の認知症有病数は現在,およそ 3,560 万人に上り, 2030 年までに 2 倍の 6,570 万人,2050 年までに 3 倍の 1 億 1,540 万人に増えると予測した.わが国でも, 2012 年に厚生労働省から「認知症高齢者数について」 のレポートが出され,その中で「認知症高齢者の日常 生活自立度」II以上の認知症高齢者割合を算出し,そ の数は 2015 年(平成 27 年)には 345 万人,8 年後 の 2020 年(平成 32 年)には 410 万人になるとして いる.この数字は 65 歳以上高齢者の 10 人に1人が認 知症になるとの結果である.また 2013 年に厚労省研 究班からは,その数をさらに上回る 465 万人の認知症 が存在するとの報告がされている.いずれにしても認 知症は特別の疾患ではなく,“ 身近な病気:common disease” になっている. こういったなか厚生労働省は 2011 年に「認知症に なっても住み慣れた地域で安心して生活を継続する」 ことを目的として,認知症施策検討プロジェクトチー ムを立ち上げ,2012 年 6 月の報告書「今後の認知症 施策の方向性について」の中で,認知症施策の具体的 な方針を打ち出した.また平成 25 年度から 29 年度ま での取り組みを示した「認知症施策推進5か年計画(オ レンジプラン)」が出され,その中で「標準的な認知症 ケアパスの概念図」が提示された(図 1).これは,こ れまで地域ごとで模索されてきた認知症対策方針が, 具体的に標準化された形で示されたことになる.概念 図に示されるように,認知症の人を地域で支えるため には,気づき(早期発見)での関わり,次に重度化す ることを見越した中等度での対応,さらに重度化した 際の対応を,歯科医療従事者としても整理しておく必 要がある.また,図中に示される認知症初期集中支援 チームに歯科医師が関わることが求められており,歯 科医療機関に受診する認知症の人への対応は勿論であ るが,地域で認知症の人,さらには家族を支える一翼 を担うことが求められており,今後もその重要性は増 していくことが予想される.

A perspective on the oral health and dental management planning process for older people with dementia