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次世代の情報通信 ・情報処理技術 として,量 子情報通 信 ・量子 コンピュータなどの量子情報技術が研究 されて いる.こ れらの中で も量子光学的手法による量子情報通 信実現の追求はその中心 となっている.こ れは,光 と環 境の相互作用は比較的小 さいため,他 のスキームに比べ 量子性を長 く保持でき,通 信 に向いているからである. 量子光学的手法による量子情報通信には,大 きく分け て2つ の流れがある.1つ は単一光子源を用いる方式であ る.こ れは,単 一光子の偏光状態等に情報をコー ドし, それを通信路(光 ファイバ等)に直接流す方式である.こ の ような方式では,通 信路の損失 により,情 報のキャリア である光子が消滅 してしまう確率が無視で きないので, 受信者 にキャリア光子が届いた ときのみ通信が成立す る,い わゆる「ポス トセレクション」という「条件付き」通信 となる.し たがって,通 信速度の点から言うと遅いと言 わざるを得 ない.た だし,遅 くても安全性の方が重視 さ れる量子暗号などの用途では,こ の方式 も威力を発揮す る. もう1つの流れは,コ ヒーレント光通信の量子版 ともい うべ き,コ ヒーレン ト光を用いた量子情報通信である. この方式の特徴は,レ ーザーの状態であるコヒーレント 状態の振幅 ・位相等に情報をコー ドし,通 信路に流す. ここまでは従来のコヒーレント光通信 と同 じであるが, 受信側の検波法が本質的に異なる.従 来のコヒーレン ト 光通信では,検 波のためにホモダイン ・ヘテロダイン測 定を用いるが,コ ヒーレント光を用いた量子情報通信で は,量 子一括測定などの一般化 された測定を用いる.こ こで一般化 された測定とは,簡 単に言 うと,被 測定対象 である光の量子状態を適当な量子状態に変換 し,そ れを ホモダイン測定や光子数計数などの物理的実現が容易な 測定に掛けるというものである.あ るいは,従 来の測定 の前に「量子コンピューティング」するとも言える.こ のよ うな一般 化 された測定を用いる理由は,従 来のホモダイ ン ・ヘテロダイン測定は,例 えば位相測定に関して量子 最適な測定 とはなっていないが,一 般化された測定では そうすることが可能となるからである.つ まり,簡 単に 言うと,従 来のコヒーレント光通信より,読 み出し時の エラーレー トを下げることができる.ま た,量 子状態に うまく情報を符号化 し,読 み出 し側で最適な一般化 され た測定を用いると,超 加法性 というゲインが生 まれ,古 典物理的通信容量限界であるシャノン限界を破ることが 知られている1).さ らに,こ の方式の もう1つの重要な特 徴は,コ ヒーレント状態 は通信路で損失を被 って もコ ヒーレント状態であ り続けることである.し たがって, 情報のフィデリティという意味では低下するが,単 一光 子を用いた量子情報通信 とは異なり,常 に通信は成立す る.つ まり,「決定論的」な通信となる.し たがって,高 速 の通信が可能 となる.ま た,こ の方式に基づいた量子暗 号も研究されていて安全性も高い. 本特集号では,こ のような特徴を持つ「コヒーレント光 を用いた量子情報通信」および関連テーマを研究されてい る第一線 の研究者の方々に,「実験」の観点からそれぞれの テーマを解説 していただいた.ど うしても「量子情報」の話 となると,抽 象的な話ばかりで「騙された」という気分にな る人が多 く,そ の気分を払拭するためである.つ まり, 現実の実験の話を聞けば,イ メージが湧いて くると考え た. 具体的には,解 説1において,コ ヒーレント光を用いた

Preface to Special Issue on Present and Future Status of Quantum Communication Technology Using Coherent Optics