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Cotton fabrics were oxidized with sodium dichloroisocyanurate (SDIC) and catalytic amounts of 2,2,6,6-tetramethylpiperidin-1-oxyl (TEMPO) and NaBr in water at pH 9 or 10 and temperatures of 15‒40 ̊C for 5‒15 min. The TEMPO-oxidized fabrics were post-treated with NaClO2, H2O2 and NaBH4. The oxidized cotton fabrics thus obtained had higher carboxylate contents and higher viscosity-average degrees of polymerization (DPv), compared with the conventional TEMPO/NaBr/NaClO or TEMPO/NaClO/NaClO2 system when the oxidation was carried out under similar conditions. Because SDIC gradually releases HOCl in water, forming NaOCl at pH 10, this NaClO is preferentially consumed for oxidation of C6-primary hydroxyl groups of cellulose, rather than cellulose depolymerization or formation of C2/C3 ketones. As a result, the decrease in whiteness of the oxidized cotton fabrics without post NaBH4 treatment after heating was lower than those prepared with TEMPO/NaBr/NaClO system. Moreover, the TEMPO/NaBr/SDIC oxidation of cotton fabrics can be carried out in water at pH 9, which leads to the same carboxylate content as that prepared in water at pH 10 but higher DPv. Thus, the TEMPO/NaBr/SDIC is an efficient and promising system for oxidation of cotton fabrics with high carboxylate contents and high DPv values, suitable for functionalization of cotton fabrics for clothes and underwear. (Received 29 April, 2016 ; Accepted 8 June, 2016) # corresponding author : ジクロロイソシアヌル酸を用いる綿セルロース布の TEMPO触媒酸化 Chiaki Tanaka, Yoshinari Yui, and Akira Isogai # 田中 千晶・由井 美也・磯貝 明 *1グンゼ株式会社研究開発部(京都) *2東京大学大学院農学生命科学研究科 *1Gunze Limited, 1 Ishiburo, Inokurashin-machi, Ayabe, Kyoto 623-8512, Japan *2Graduate School of Agriculture and Life Science, The University of Tokyo, 1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8567, Japan TEMPO-Mediated Oxidation of Cotton Cellulose Fabrics with Sodium Dichloroisocyanurate J. Fiber Sci. Technol., 72(8), 172-178 (2016) doi 10.2115/fiberst.2016-0027 ©2016 The Society of Fiber Science and Technology, Japan 172 Journal of Fiber Science and Technology (JFST), Vol.72, No. 8 (2016) 酸化綿布の構造および特性解析等が検討されてきた [7‒10].共触媒であるNaBr を Na2SO4 に代替した TEMPO/Na2SO4/NaClO 系酸化反応でも,綿布の改 質に十分な量のカルボキシ基を導入可能で,なおかつ 重合度低下や加熱処理による白色度低下を制御するこ とができた[8].また,約 0.3mmol/g 以上のカルボキ シ基を導入したTEMPO酸化綿布はアンモニアや酢 酸に対して明瞭な消臭機能を示した[8].さらに, Na2SO4 を用いる酸化反応系では,綿セルロース繊維 断面方向に偏りなく,均一にカルボキシ基が導入され ることが見いだされた[9].そこで,TEMPO/Na2SO4 /NaClO 酸 化 系 に お け る,酸 化 型TEMPO分 子 (TEMPOあるいは N‒ オキソアンモニウム塩)の生成 と反応性,安定性等を,電子スピン共鳴装置を用いて 検討した[9]. 一方,pH 10 での TEMPO触媒酸化反応では,主 酸化剤であるNaClO 添加による綿セルロースの重合 度低下が避けられない[9].綿セルロースの重合度低 下は,綿布の剛度の増加,風合いの低下の要因となる. そこで,重合度低下を制御可能な,中性~弱酸性水溶 液中での綿布のTEMPO/NaClO/NaClO2 系酸化条件 と,酸化綿布の構造および特性を検討した[10].この 中性系TEMPO触媒酸化反応によってセルロースの 重合度低下,加熱後の白色度低下をある程度制御する ことができた.しかし,40~90°Cへの加温,長時間 の反応時間,反応装置の密閉化等が必要となり,実用 化には課題があった[10]. そこで,本研究ではTEMPO触媒酸化反応過程で のセルロースの重合度低下を制御することを目的とし, NaClO の代替としてジクロロイソシアヌル酸ナトリ ウ ム(図 1) (sodium dichloroisocyanurate : SDIC と 省 略)を検討した.SDIC は水に溶解すると,徐々に次 亜塩素酸を生成する[11,12].NaClO 水溶液はアルカ リ性であるが,SDIC は水に溶解しても中性であり, 塩素失活がほとんどなく安定である[11,12].そこで, SDIC を使用することで反応初期にNaClO を一度に 添加することによるセルロース綿布の重合度低下,そ れによる綿布の脆化を防ぎ,加えて適正量のカルボキ シ基を綿布に導入する酸化反応条件を検討した. 2.実 験 2.1 試料 綿布試料は,糸番手 40/1(DPv=2200)のニット構造 物(フライス綿布)を使用した.ニット生地編立時の機 械油や綿布自身が含有する不純物を除去するため,非 イオン性の界面活性剤(三洋化成工業社製グランアッ プRS-5000)1g/L 濃度,炭酸ナトリウム 5g/L 濃度の 水溶液中で 70°C,20 分処理後,湯洗浄-水洗し,40°C で 2時間処理して含水率を 3%程度まで低下させたの ち,20°C,65%相対湿度(RH)で 24 時間調湿した [8‒10].調湿後の含水率は約 7%であった.TEMPO および各種ニトロキシルラジカル,酸化剤等,その他 の試薬および溶媒類は,市販の試薬特級品をそのまま 使用した. 2.2 TEMPO触媒酸化 TEMPO2.0g と NaBr14.0g をイオン交換水 2.4L に 添加し,撹拌して溶解させた.続いて未漂白綿布 80g を投入し,十分綿布を反応溶液に浸透,浸漬させた. 続いて撹拌下に,所定量の SDIC あるいはNaClO 水 溶液を加え,所定の pHに希NaOH水溶液あるいは 希HCl 水溶液を添加して調整し,酸化反応を開始し た.所定の反応時間処理後,反応溶液から酸化綿布を 取り出し,イオン交換水にて,常温で十分洗浄後,遠 心脱水機(染色堅牢度洗濯試験機 : スガ試験機(株)社製 LM-12D)を用い,含水率約 100%まで脱水した. 2.3 TEMPO酸化綿布の追酸化処理 上記TEMPO触媒酸化処理によりC6 位の一部は カルボキシ基に酸化されるが,少量のC6‒ アルデヒ ド基が生成する[5,6].そこで,1.6L の蒸留水に, 25wt%の NaClO2 水溶液 216g を加えた後,2.2 項で 調製した未乾燥のTEMPO酸化綿布を投入,浸漬さ せ,テクサム技研社製 12EL ミニカラー染色機を用い て,pH 4,80°Cで 60 分間追酸化処理した(対綿布絶 乾重量当たり 4%のNaClO2 を使用).この追酸化処 理により酸化綿布中に生成した微量C6‒ アルデヒド 基をC6‒ カルボキシ基に酸化した[13].その後,加 熱イオン交換水に浸漬して湯洗い,室温イオン交換水 に浸漬して十分に水洗し,2.2 項に従って脱水した. 2.4 TEMPO酸化綿布の脱NaClO2処理 2.3 項で得られたNaClO2 で追酸化したTEMPO酸 化綿布中に微量残存するNaClO2 を分解-除去するた め[8‒10],下記の処理をおこなった.2.4L のイオン 交換水に,35wt% H2O2 水溶液とポリカルボン酸系キ レート剤(日華化学社製ネオレート PLC7000)を 0.96g 添加して撹拌後,1.0M NaOH水溶液にて pH 10.6 に 調整した.その溶液に未乾燥のNaClO2 追 酸化 TEMPO酸化後綿布を投入して十分撹拌させた後, 再度 1.0M NaOH水溶液にて pH 10.6 に調整し,2.3 項と同装置にて,70°C,20 分処理した.その後,処 Fig. 1 Chemical structure of sodium dichloroisocyanurate ( SDIC ) and formation of hypochlorous acid from SDIC in water. Journal of Fiber Science and Technology (JFST), Vol.72, No. 8 (2016) 173 理綿布を熱水イオン交換水中に浸漬して湯洗い後,室 温のイオン交換水中に浸漬-水洗し,2.2 項に従って 脱水した. 2.5 TEMPO酸化綿布の還元処理 TEMPO酸化反応により,C2/C3 位に微量生成し たケトン基を水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)で還元 処理した.4.0L のイオン交換水に 4.0g の NaBH4 を 溶解させ(この段階で溶液の pHは 11 以上),2.4 項ま でに調製したH2O2-NaClO2 処理したTEMPO酸化綿 布を投入後,希塩酸を用いて pH 10 に調整した.続 いて 2.3 項と同装置にて,25°C,20 分追還元処理した 後,1.0M HCl 水溶液を添加して生地を含んだまま反 応液を中和し,NaBH4 を分解した.その後,NaBH4H2O2-NaClO2 処理したTEMPO酸化綿布をイオン交 換水中に浸漬して十分洗浄後,脱水し,40°Cで 2時 間乾燥した. 2.6 TEMPO酸化綿布の分析 TEMPO酸化綿布中のカルボキシ基量は電導度滴 定装置(平沼産業株式会社製COM-1600)を用い,既報 に従って測定した[8‒10].重合度は 2.5 項で還元処理 した各種TEMPO酸化綿布を 0.5M銅エチレンジア ミン水溶液に溶解させ,キャピラリー粘度法により既 法に従って極限粘度を求め,重合度の値に変換した [8‒10]. 2.7 加熱による白色度低下測定 NaBH4 処理前後の酸化綿布を予め 20°C,65%RH で 3時間調湿し,白色度を分光光度計(Kollmorgen Instruments 社製WHITE-EYE 3000)を用い,D65 光 源 2̊ 視野で測定し,CIE Lab表色系で下式により 白色度を算出した. 白色度(%)=L-3b その後,酸化綿布を 105°Cで 2時間加熱処理し,20°C, 65%RHで 7時間調湿して白色度を上記と同じ方法で 測定し,白色度低下を次式により算出した : 白色度低 下(%)=[(加熱前の白色度)-(加熱処理後の白色度)] ÷(加熱前の白色度)×100[8‒10]. 2.8 酸化綿布の剛軟性評価 TEMPO酸化綿布をイオン交換水にて浸漬し,マ ングルを用いて均一に圧搾してピンテンターで乾燥し た.この綿布試料 20×20cm を 20°C,65%RHで 24 時間調湿し,ハンドロメーター(Handle-O-Meter)を 用いて測定した(JIS L-1096E 法)[8].