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2 種以上の異なる分子が共有結合以外の弱い相互作用 (van der Waals 力・静電相互作用・水素結合など)によっ て集合し、新規な機能性を発揮する超分子の概念は、近年 の高分子化学において重要な一角を占めるに至った。それ らの中でも、環状・鎖状の分子が幾何学的拘束によって絡 み合い、一つの巨大な分子としてふるまう(ポリ)ロタキサ ンや(ポリ)カテナンなどの超分子は、その形状の美しさや 超分子構造の基礎的研究といった側面に加えて、一分子内 での環分子の運動自由度の高さが新規な材料物性を生み出 しうることから、材料化学の分野においても注目を集めて いる1-3)。 最も研究の進められている超分子の一つが、軸分子にポ リエチレングリコール(PEG)、環状分子にシクロデキスト リン(CD)を用いたポリロタキサンである。CDが PEGを 自発的に包接する、いわゆる自己組織化によって容易に調 製できることが見いだされて以来、PEG/CDポリロタキ サン(以下、単にポリロタキサンと記述する)は多くの研究 者によって魅力的な材料形成に応用がなされてきた。その 反面、発見当初は良溶媒がDMSOと NaOH水溶液しかな く、水や他の汎用有機溶媒に不溶であることが、ポリロタ キサンの材料化においての大きな障害であった。 筆者はおよそ 8年にわたってポリロタキサンの誘導体化・ 材料化に関する研究に関わっているが、その間にいくつか のポリロタキサンの新規良溶媒を報告し、それを用いて 数々の新規な機能性超分子材料を創製してきた。現在でも 学会発表などの場で溶媒系に関する質問を受けることが多 いが、その質問の多くは「もともとの PEGや CDが可溶 であった溶媒にさえなぜポリロタキサンは不溶なのか」「新 規溶媒はどういったメカニズムでポリロタキサンを溶解さ せるのか」といった点に多く集中する。そこで本稿では、 ポリロタキサンの難容性を結晶性多糖類やポリアミド類と の類似性という観点から概説し、続いてポリロタキサンを 溶解する溶媒の各論を、種々の機能性高分子材料の調製と 関連づけて解説する。他の難溶性物質の溶解法についても 質問を受けることもあるので、そのような研究のご参考に もなれば幸いである。なお、超分子全般についての解説4,5)、 ポリロタキサンを用いた機能性材料の創製1-3),6-8)、特にポ リロタキサンを架橋して得られる「環動高分子材料」2,9)に 関しては他にも総説がある。

Exploration for Good Solvent Systems of PEG/CD Polyrotaxane for Preparation of Functional Supramolecular Materials