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資源の枯渇あるいは埋め立てや焼却による地球環境への 負担を減らすべく,プラスチックリサイクルに対する取り 組みが,全世界で展開されている.プラスチックのリサイ クルには,サーマルリサイクル,ケミカルリサイクル,マ テリアルリサイクルの 3種類があるが,この中ではマテリ アルリサイクルが最も地球環境的に優れているとされてい る.しかしながら,日本の現状では,マテリアルリサイク ルはリサイクル樹脂全体量の 30%に達していない.これは, マテリアルリサイクルした樹脂の物性が,バージン品と比 較して著しく劣るためである.そのため,これらマテリア ルリサイクルされたプラスチックは,プラスチックの本来 の物性である靭性を必要としない,充填剤的な用途にしか 再利用されておらず,結果としてマテリアルリサイクルが 進展しない要因となっていた. 従来この物性低下の原因は,成形加工時あるいは使用時の 熱や紫外線による化学劣化によるものとされてきた.化学劣 化とは高分子鎖の切断を伴う化学変化であり,再生すること は不可能である.したがって,マテリアルリサイクルプラス チックの低い物性値も,再生が不可能と考えられてきた. この従来の常識に対し,冨永らはマテリアルリサイクル されたプラスチックの分子量が,バージン品であれば良好 な物性を発揮するのに十分であることに着目し,高分子物 理的な視点からマテリアルリサイクルプラスチックの物性 低下の原因の再検討を行った.その結果,ポリエチレンや ポリプロピレンなどの結晶性高分子をマテリアルリサイク ルしたプラスチックの物性低下の主な原因は化学劣化では なく,プラスチックの結晶構造あるいは内部構造が成形加 工の段階でタイモレキュールが少ない状態と変化したこと による物理劣化であることを明らかとした.またリサイク ル時の成形条件を最適化することにより,タイモレキュー ル数を増加させることが可能であり,物性をバージン品並 みに再生でき,耐久性も著しく向上できることも明らかと した.これらの結果は,マテリアルリサイクルに新しい試 みをもたらし,高度に展開するものであると考えられ,注 目に値する. 一方ポリスチレンなどの無定形高分子に関しては,リサ イクルプラスチックの物性が成形履歴の影響を受けている のか,また再生が可能であるかの詳細な検討はなされてい ない.今回我々は,無定形高分子として環状オレフィンコ Molding History Dependence of The Mechanical Properties of Recycled Amorphous Plastics