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高分子鎖の運動は,様々な空間スケールあるいは時間ス ケールの運動モードから成り立っている.すなわち高分子の 繰り返し単位程度の局所的な速い運動から鎖全体の遅い運 動まで,運動モードが階層構造をなしていると捉えること ができる.この階層構造の各層における高分子鎖のダイナ ミクスを解明し,さらに階層間の運動の相関を調べること は,高分子ダイナミクスの分野においてたいへん重要なこ とである.高分子鎖の運動性を調べる実験手法は対象とす る運動モードに応じて様々なものがある.代表例を挙げる と,局所的な運動を調べる方法として蛍光偏光解消測定 , NMR測定 ,粘弾性測定,誘電緩和測定 ,高分子鎖全体 の運動性を評価する方法として粘弾性測定,誘電緩和測定な どがある.本論文中では,局所運動を調べる手段として蛍 光偏光解消測定,鎖全体の運動を調べる手段として粘弾性 測定を用いている.ここで蛍光偏光解消法について簡単に 説明する.Fig. 1のように,紙面縦方向に直線偏光した光を 蛍光分子がランダムに配向した系に照射すると,蛍光分子 の光吸収の遷移モーメントの方向が励起光の偏光方向に近 い分子が選択的に励起される.図の色が濃い分子ほど高い 確率で励起されることを示している.励起された蛍光分子 からの蛍光発光は,励起直後には励起光の偏光方向と同じ 方向に偏っているが,おのおのの蛍光分子が絶えず回転緩 和している場合,時間の経過にしたがって励起状態にある 蛍光分子の配向はランダムになり,そこからの蛍光の異方 性も小さくなる.この現象を偏光解消という.なお Fig. 1で は簡単のために蛍光分子の吸収と発光の遷移モーメントの 方向が同じであるとしている.本論文中で蛍光プローブと して主に用いたアントリル基はこの仮定が成り立つと考え られる.高分子鎖の特定の部位に偏光解消を示す蛍光プロー ブを導入すると,プローブ近傍の高分子鎖の局所的な運動 性が蛍光プローブの回転緩和時間に反映される.蛍光プロー Studies on Local Motion of Synthetic Polymers and Dynamics of Polysaccharides