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地球温暖化対策や石油依存度低減のため,カーボンニュート ラルと言われるバイオマスの利用技術開発が世界中の様々な分 野において精力的に行われている。特に,石油依存度の高い運 輸部門においては,現行のガソリンや軽油に代わるバイオ燃料 の導入が既に開始されつつあり,今後さらに増加されていくと 思われる。木質系や草本系のバイオマスを原料とした場合,近 年,急速熱分解およびアップグレーディングによる輸送用燃料 化が注目されている。急速熱分解反応は,乾燥・粉砕されたバ イオマス小粒子(粒子径<2〜3 mm)を酸素非存在下で急速 に加熱(>100 °C/s)し,450〜550 °Cの温度で短時間(<2 s) に熱分解反応を行わせ,得られる熱分解生成物を急冷すること により液状生成物(バイオオイルもしくはタールと呼ばれる黒 色の液体)が得られる 。急速熱分解反応は,ガス化を経由し て Fischer-Tropsch(FT)合成反応等により液体燃料を製造する BTL(Biomass to Liquid)反応に比べ分解温度が低い(〜500 °C) ことから,エネルギー効率的に有利であると言われている 。 また,急速熱分解反応は,糖化・発酵によりバイオエタノール を製造する生物化学的変換に比べ短時間(〜数秒)で処理可能 であることから,設備投資コストが他の製造技術に比べ,低コ ストとなると試算されている 。 急速熱分解で得られるバイオオイル中には,有機酸,アルデ ヒド,ケトンといった比較的軽質で水溶性の含酸素化合物およ びフェノール,メトキシフェノールといった芳香環を有する難 水溶性の含酸素化合物が含まれている 。また,バイオマス原 料により,油脂由来の脂肪酸が含まれる。急速熱分解直後は高 温,高流速でガス(CO,CO2,C1〜C4の軽質炭化水素・含酸 素化合物)と1 μm以下のバイオオイルミストが混合したエア ロゾル状態であり,オイルミストトラップにおいて分離される が,オイルミストトラップの性能が十分でない場合,バイオオ イル収率が低下する。また,上記バイオオイル成分の内,特定 の成分のみを回収してしまう可能性もあり,バイオオイル組成 に関して誤った情報を得る結果につながる。このため,特に誤 差の影響が大きくなる実験室規模の小型反応装置を用いた場合 には,オイルミストトラップの役割が非常に重要となる。バイ オオイルの回収方法としては,これまで冷却,遠心分離,溶媒 トラップ(スクラバー),フィルター方式等が用いられ,これ らを組み合わせている場合も見受けられる 4)〜6)。しかし,低温 冷却ではエアロゾル状態のバイオオイル回収率が最も低いと言 われている。また,Aguadoらは,バイオオイルの回収のため, 10,000 rpmの遠心分離器にさらに25×106 mの焼結型フィル ターを利用しており,遠心分離方式だけでは十分な回収は困難 である 。 一方,近年欧米のグループを中心に,バイオオイルの効率的 な回収には電気集塵器が有効であるとの報告がなされてい る 。電気集塵器は,放電線と集塵板(集塵管)から構成され ており,放電極のコロナ放電によりバイオオイルを帯電させ, もう一方の電極(集塵板)に捕集する原理である。電気集塵方 式では,冷却方式やフィルター方式に比べ目詰まりによる圧力 損失増大が起こりにくく,消費電力も少なくすることが可能で ある。しかし,実験室規模でのバイオオイル回収に関して,そ の詳細については明らかにされていないことが多く,他の回収

Effect of Electrostatic Precipitator on Collection Efficiency of Bio-oil in Fast Pyrolysis of Biomass