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現在,石油化学製品は身近に大量に使用され,我々の豊かな 生活を支えている。これら石油化学製品を製造するためには, 原料である石油から蒸留や有機合成を含めた多段階の化学プロ セスを経ることが必要である(Fig. 1)。このような全化学プ ロセスの中でも酸化反応を含むプロセスはコア技術であり,酸 化にかかわる技術なくして現代化学産業の持続的発展はありえ ない。酸化プロセスは工業的に最重要な技術の一つであるが, 一方で酸化剤を原料と同量以上使用する量論反応のため,酸化 剤由来の副生物が大量に発生する環境的には問題のあるプロセ スでもある 。酸化反応とは,広義には電子を失う化学反応全 てを示すが,著者らは特に産業上有用なアルコール類の酸化反 応およびエポキシ化反応について述べる(Scheme 1)。アルコー ル類を酸化して得られるカルボニル化合物やカルボン酸は,香 料や医薬品の原料に使用されている基本的かつ重要な化合物で ある。エポキシ化合物は電子材料,接着剤,建築材料に広く使 用されている基盤材料の原料であり,産業の下支えをしている 重要な化合物である。 2. E-因子とターゲットとする化合物群

ファインケミカルズ合成を指向した過酸化水素酸化技術の開発