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岡山県南部地域で主に栽培されている水稲品種「アケボ ノ」,「朝日」および「雄町」は,それぞれ脱粒性が易,極 易およびやや易であり,比較的脱粒し易い品種である(大 久保 2016).脱粒し易い品種では,自脱型コンバインによ る刈取りや,脱穀装置までの搬送における機械的衝撃に よって頭部損失が生じ,収穫損失の原因となる(Lee and Huh 1984). 水稲の脱粒程度は,幼穂分化期前後の追肥(江幡 1971), 穂孕期の低温(江幡・井上 1966),出穂 16日前から 9日前 の低温(江幡 1971),出穂後の降雨(中村ら 1975)などの 栽培条件や気象条件によって影響を受け,それぞれが脱粒 し易い方向に作用するとされている.これらの生育環境の 違いは,水稲品種の脱粒程度の年次変動として現れると考 えられる.しかし,これまで水稲品種における脱粒程度の 年次変動については,具体的なデータを示して論じられて いない.また,江幡(1971),中村ら(1975)の報告はポッ ト栽培による試験であり,水田栽培における脱粒程度の年 次変動を示した報告は見当たらない.脱粒性の年次変動と その原因を解明することで,脱粒し易い品種において耕種 的な脱粒軽減方法を見出せる可能性もある. 本研究の目的は,現在の我が国において希少といえる脱 粒し易い品種を用いて,脱粒程度の年次変動を把握しよう とするものである.本稿では,その端緒として酷暑年とい われた 2010年と近年で低温傾向の強かった 2015年の二か 年分のデータを用いて脱粒程度の年次間差について検討し た.

Annual Variation of the Grain Shattering Degree in Main Rice Cultivars in Okayama Prefecture, Japan