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日本のアナログテレビ放送は1953年(昭和28年)に放送が 始まったが,そのちょうど50年後にあたる2003年12月から 関東,近畿,中京の3大都市圏で地上ディジタルテレビ放送 (以下,ディジタルテレビという)が開始された.2006年末に は全国の主要都市でも放送が始まり,約85%の世帯で視聴が 可能となった. 地上ディジタル放送は,高品質で移動受信が可能な映像・ 音声サービス(高精細でマルチパス・雑音の影響を受けにく い)を提供できるほか,参加型番組など双方向サービスが可 能,携帯電話など通信ネットワーク・インターネットとの連 携が可能,大量の番組蓄積,容易な番組検索・ランダムアク セスが可能なホームサーバが利用できるなど従来にない様々 な新しい機能を持っている. 一方,技術的な面から見た場合,ディジタルテレビはディ ジタル伝送の一種であり,伝送路で生じるノイズ・ひずみあ るいは妨害波などが画質・音質などに与える影響は従来のア ナログテレビとは大きく異なる.例えば,アナログテレビの 場合は,ノイズ・妨害波の混入などがあれば画面にそのまま 現れるため,容易に劣化状況を確認できる.しかし,ディジ タルテレビの場合は,受信側でのC/Nがあるしきい値(高精 細度受信すなわちハイビジョン受信の場合で約20dB)までは 全く劣化がなく,しきい値を超えると全く受信できなくなる, いわゆるクリフエフェクト(cliff effect)現象が発生するため, 画面から劣化状況を把握することはできない. 本文においては,このようなディジタルテレビ特有の現象 に焦点を当て,ノイズ・妨害波など伝送特性を劣化させる様々 な要因をすべて等価的なノイズとして取り扱う必要があるこ とを述べるとともに,その等化方法についても解説する.

Countermeasures for Noise Interference in Terrestrial Digital Television Broadcasting