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GABA受容体は抑制性神経伝達に関わる重要な受容体で, 5量体からなり,各サブユニットはN末の細胞外領域と膜貫 通領域 (M1‒M4)で構成されている.GABAがN末の細胞外 領域に結合すると,Clイオンを選択的に透過するが,アン タゴニストであるシクロジエン系殺虫剤やフィプロニルは 昆虫の神経細胞へのClイオンの流入を阻害し,神経の過興 奮状態を誘起し,殺虫作用を示すと考えられている.昆虫 GABA受容体サブユニットは最初にDrosophila melanogaster からクローニングされ,Rdl (resistant to dieldrin)と命名さ れた .昆虫 RDL GABA 受容体はRDLサブユニットのホモ マーの発現で機能することが知られている. 昆虫RDL GABA受容体をターゲットとするフィプロニル やシクロジエン系殺虫剤は膜貫通領域M2によって形成さ れるチャンネルの孔の部位に結合することが示唆されてい る.シクロジエン系殺虫剤の抵抗性機序としてGABA受容 体RDLサブユニットの膜貫通領域M2のA2′ S変異とA2′ G 変異が種々の害虫で報告されている .また,オウシマダ ニではT6′ L変異がシクロジエン系殺虫剤ディルドリンの抵 抗性に関与していることが示唆された .A2′ S変異とA2′ G変異は,フィプロニルに対し交差抵抗性を示すことが報告 されているが,その程度は低い. セジロウンカとヒメトビウンカはイネの主要害虫である が,アジアでフィプロニル抵抗性を発達させて,イネに重大 なダメージを与えている.我々は2007年に福岡県で採集し たフィプロニル抵抗性セジロウンカとフィプロニル感受性セ ジロウンカのGABA受容体RDLサブユニットの膜貫通領域 M1‒M3領域の塩基配列を決定し,フィプロニル抵抗性セジ ロウンカ由来GABA受容体RDLサブユニットでは,膜貫通 領域M2のAlaがAsnに変異 (A2′ N)し,A2′ N変異型遺伝子 と野性型遺伝子のヘテロ接合体の状態で存在していることを 見出した .また,2009年に福岡県で採集したフィプロニ DOI: 10.1584/nouyaku.W13-04

Research background and summary of “Award in 2013 for Excellence to Publishing in the Journal of Pesticide Science”