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イネいもち病菌(Pyricularia oryzae, 完全世代Magnapor the grisea)の イネへの侵入 ・感染に, 付着器の形成および その機能発現が必須 であることは周知の事実である1). 現 在有効な抗いもち剤 として用いられている薬剤のいくつか は, メラニン合成阻害活性によ りこの付着器の機能を阻害 することによって, いもち病防除効果 を発揮 している2). こ うした薬剤の有効性によってもこの感染特異的器官の重要 性がわかるとともに, それが感染時に分化す る極めて特殊 な器官であるがゆえに, その阻害剤は低毒性の薬剤 として 利用できる可能性があるという点で も関心が持 たれて き た. 付着器形成並びにその機能発現にはメラニン合成のほ かにも多 くの因子が関与 していることは明白であ り, それ らの因子を解明し機能 を理解することは, 新たな付着器阻 害剤のデザインにつながる可能性 を秘めていると期待 でき よう. 近年, 付着器形成および機能発現について, 分子生物学 的アプローチを含むさまざな研究が進展し, いもち病菌研 究においては レース特異性 に関る非病原性遺伝子(翅7R genes)の 研究鋤 と並んで, 二っの大 きな柱の一つ となった 感がある. 本稿 では, 筆者が出席 した1997年3月 に米国 Asilomarで 開催 され た19th Fungal Genetics Conference (以下FGC)で 得 られた比較的新 しい情報を含め, いもち病 菌の付着器形成並びに機能発現に関る最近の研究の動向を 紹介 したい. 図1は この総説の道標 として, 本稿で解説す るものを中心に, いもち病菌の胞子か ら付着器の成熟まで の過程並びにそれぞれの過程に関与す る遺伝子, 因子を模 式的に描いたものである. なお, 両国際会議での口頭発表 内容, 追加のポスターなど, 文献引用の困難な一部の情報 については筆者のメモや私信 をもとにしたものであ り, な るべ く正確 を期 したものの不完全なもの もありうることを あらか じめご了解いただきたい.

Recognition of Environmental Cues and Appressorium Formation of <i>Magnaporthe grisea</i>