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近年植物保護における病害防除薬剤として, 残留毒性 のおそれがなく, 選択毒性の高い薬剤が開発実用化され ている. これらの化学療法剤は病原菌の生育は阻害する が, 寄主に対しては一般的に阻害作用を示さない. ま た, 各種の化学療法剤にはそれぞれ特有の抗菌スペクト ルがあって, ある病原菌に対して阻害作用を示すが, 他 の菌に対しては抗菌力を示さない. このように同じ生き た細胞であり, その基本的機構が同じであるにもかかわ らず, 細胞の種類によって異なる毒性を示す. この現象 がEhrlich以 来の基礎的理念である 「選択毒性」であ り, その性質を有する物質が化学療法剤である. 植物病 害防除においても, 化学療法剤の発見は大きな成果をも たらした. しかしながら植物病原菌も生物の一種である以上, 外 部環境の変化に対応して変異し, 適応しやすいもののみ が生存しつづけることから, 薬剤の攻撃に対して病原菌 も巧妙に変異し, 生存 ・増殖して薬剤防除を困難にする ことは当然考えられることであった. 有害生物が薬剤に抵抗性を示す現象の歴史を調べる と, 医薬領域における化学療法剤の広汎な使用開始後20 年にして, 細菌類の中に非常な勢いで薬剤耐性菌が出現 している. また, 害虫およびダニ類の有機合成殺虫剤に 対する抵抗性が薬剤使用後数年を経ずして発生し, 防除 上大きな問題となっている. それに反し植物病原菌にお け る薬剤耐性菌の出現は懸念 され ていたが, 比較的最近 まで病害防除上 そ れ ほ ど問題 にならなか った. ところ が, ここ数年間 に各地で選択性の高い抗生物質お よび有 機合成殺菌剤の薬効 低下 現象が発生 し, その原因 として 耐性菌の出現1, 2)が認め られ, 病害 防除上 大 きな問題 と な ってい る. 今後 も各 種の病原 菌 につ ぎつ ぎと耐性菌が 出現 す ることが予想され, 病害防除の面か ら, これ ら耐 性菌をいかに絶滅 す るか重要な問題 をかかえてい るとい え よう. 最 近植 物病原菌 の薬 剤耐性 に関す る研究報 告な らびに 情報 は多 くな ってい るが, 浅 学のためそれ らを総括す る ことは不可能 に近 い. そ こで主 として, わが国で開発 ・ 実用 化 さ れ た農薬用 抗生 物質を 中心 にした 研究結 果か ら, 薬剤耐性菌 の検定法 な らびに疫学的動向を とりあげ て, 今後 の耐性菌 の調査. 研究 の参考 に したい と思 うも のである.

Methods of Determinating the Drug-resistant Strains in Phytopathogenic Bacteria and Fungi and its Epidemiology in the Field