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実験動物を用いた肺毒性の検証において,気管支肺 胞洗浄液(BALF)の細胞検査や生化学検査を行うこと は,肺の炎症や傷害等の変化を比較的早く検索するこ とができ,また,用量反応関係を得ることも可能であ ることから,粉塵等の肺に対する影響を調べる手段と して有効である.しかし,BALF検査の標準的な手法が 確立されていないため,施設間のデータの比較など一 定の毒性評価ができない.さらに,BALF検査の方法 によっては毒性を見落とす可能性もある.したがって, BALF検査の標準化が課題となっており,まずBALF採 取に適した麻酔法の選択が求められる. 現在,数多くのナノ材料が開発されており,次々と 製品化されているが,ナノ材料は,そのサイズ,形状, 表面活性等により,同じ組成でも生体影響が異なると 考えられる.ナノ材料は主に吸入経路により生体内に 侵入するため,その生体影響評価には呼吸器の毒性検 索が必要であり,ナノ材料の肺毒性を評価するうえで BALF検査は必須と考えられる 1, 2).当施設では,これ までイソフルラン吸入麻酔を使用してBALFを採取し, 良好な検査結果を得ているが,イソフルランは吸入麻 酔であることから,肺に直接作用して肺に影響を及ぼ すことを考慮する必要がある. 近年,注目されている塩酸メデトミジン,ミダゾラ ムおよび酒石酸ブトルファノールを混合して使用する 三種混合麻酔では,腹腔内注射により安定した麻酔作 用が得られ,かつそれは動物福祉の観点から好ましい麻 酔と評価されている 3–8).しかし,三種混合麻酔が肺等 に直接影響を及ぼすか否かは不明である.したがって, 今回,三種混合麻酔がラットのBALF検査の麻酔に適し ているか否かを検討した.実験1として三種混合麻酔に よる麻酔状態と麻酔時間を確認し,実験2として,ナノ 材料を気管内投与したラットに対し,2種類の麻酔(三 種混合麻酔またはイソフルラン麻酔)を用いてBALFを 採取し,それらによる検査結果の差異を比較検討した.

Limited application of the three drug-mixed anesthesia for bronchoalveolar lavage fluid sampling