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材料研究において予測や設計の目標は,目的の特性を 持つ材料を見つけることである。従来よく用いられてき たのは,特定の条件(添加元素の種類や濃度など)のみ を変化させて特性変化を調べ,言わば,条件-特性グラ フの補間や外挿から目的の特性を得ようとする方法であ る。一般的なビックデータ解析は,これを大量のデータ で行うことである。この方法では,同一軸に載るよう に,特定の条件以外は同一条件に保ったデータが大量に 必要である。これを効率的に得ようとするのがハイスル ープット第一原理計算やコンビナトリアル合成・分析な どの手法である。 一方,通常の研究開発においては,文献調査を行って も目的とする特性についてそのように同一軸上に載るデ ータが十分に存在していることはまれである。しかしな がら,たとえば融点と表面自由エネルギーなど,異なる 特性間には科学的根拠に基づく関係性が存在しているこ とが多い。本稿では,そのような関係性を分野横断的に 利用して,既に存在している材料情報を活用することで 表界面の組成や仕事関数の予測・設計を行う方法を紹介 する。具体的には,層構造を持つ材料において,アニー リングにより下地元素が表面に偏析するか否か(2―1), 酸化物と金属の界面において,界面一原子層の組成が酸 素か酸化物を構成する金属原子か(2―2),二つの金属 を混ぜたときにその仕事関数がどのような組成依存性を 示すか(3―1),遷移金属炭化物の仕事関数が炭素欠損 や炭素の一部窒素置換によりどのように変化するか (3―2)である。またそれらの例を通して,既に存在し ている材料情報を分野横断的に活用する材料予測・設計 法である「マテリアルキュレーション」について述べ る。

Prediction and Design of Chemical Compositions at Surface and Interfaces