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沖縄県は日本最南端の県であり,南方からの害虫が真っ 先に侵入してくる害虫防除上の最前線基地となっている. 現在,沖縄県が主力を投じて取り組んでいるのは,サツマ イモ Ipomoea batatas (L.)の大害虫であるアリモドキゾウ ムシ Cylas formicarius (Fabricius)とイモゾウムシ Euscepes postfasciatus (Fairmaire)の根絶事業である(Moriya, 1997). この両種に食害されたサツマイモは特有の苦味と悪臭を呈 し(Uritani et al., 1975),人の食用どころか家畜の餌にも 利用できなくなる(Sutherland, 1986).したがって被害許 容水準は極めて低く,植物防疫法では両種を特殊害虫に指 定している.そのため生のサツマイモをはじめとした寄主 植物を生息域以外へ移動させることは禁じられており,地 域の経済的発展を妨げている.この問題の解決には両ゾウ ムシ種を根絶するしか方法はない(Moriya, 1997).このゾ ウムシ類の根絶に向けた防除の現状と関連する研究成果に 関しては,過去に植物防疫誌上で特集が組まれた(2000年 54巻 11号)ほかに,アリモドキゾウムシに関しては『不 妊虫放飼法』に詳述されている(小濱・久場,2008; 杉 本・瀬戸口,2008).この時点までで,防除の基盤となる アリモドキゾウムシの基礎生態の多くが明らかにされてき たが,不妊虫放飼法を実施するために必要となる大量増殖 法や不妊化法,モニタリング法については 2008年以降に 著しい発展がみられた.また,久米島での根絶も佳境に 入っている.そこで本稿では,2008年以降のアリモドキゾ ウムシの不妊虫放飼法に関する研究を中心に紹介する.な お,イモゾウムシについては熊野による別の総説が公開さ れる予定なのでそちらを参照して頂きたい. 沖縄県病害虫防除技術センターや県農業研究センター, 琉球産経株式会社,九州沖縄農業研究センターのスタッフ には本稿で紹介した研究の援助等をおこなって頂いた.熊 野了州,小濱継雄,城本啓子,原口 大,松山隆志,佐渡 山安常,宇久田理恵,新崎千江美の各氏には本稿へのコメ ントを頂いた.また本稿の内容の一部には科学研究費補助 金(特別研究員奨励費;11j11226)からの援助を含む.

Recent Advances in the Study for Eradication Projects of the Sweet Potato Weevil