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明治の初め以来 わが国の多 くの研究者に よつ て研究 さ れ,つ い にその病原体 が確定1)2)された恙 虫病 は,そ の後 一時その研究が低調 になつた とはい え ,終 戦後 まず福住 ら3)に よつてわが国 における既知恙 虫病浸淫地 とは異 な つた地 区(神 奈川 県鶴見地 区)に も恙 虫病患 者の発 生す る こ と,つ いで富士 山麓 で演習 中の米軍の間 にも多数の患 者の発生 した こ とが報 告 され4),恙 虫病 の研究が再 び盛 ん となつて きた 。その結果,伊 豆七島 における不明熱性発 疹性 疾患 も恙 虫病 にほかな らないこ とが明 らかにされ七 島熱 と呼ばれ る ようにな り,他 方佐 々らに より恙 虫の新 種 が相ついで報 告 されるにいたつた。 また昭和29年11月 田宮猛雄博士 を班長 とす る地方性 リケ ッチア症研 究班5) が組織 され,そ の研究の一部 として全国各都道 府県お よ び それ らの付属島 におい て,主 として野鼡 の捕獲 がおこ なわれ,動 物学的調 査研究 と同時にRickettsia orientalis (以 下R.o.と 略)保 有鼡の調査研究がお こなわれた。 捕 鼡か らのR.o.分 離 は,捕 鼡の主 として脾乳剤,と き には肝 ・脾混合乳剤 をマウ スの腹腔内に接種す るのであ るが,こ の マウス接種 方法 は緒方6)お よびDinger7)に よ つて始 め られた もの である。 しか しR.o.接 種マ ウスの 各臓器 の病変 について は最近清水 ら8)9)の報告があ るに す ぎない 。著者 は田宮研究班の一員 と してR.o.接 種 マ ウスの発症機 転 を究明すべ く,主 要臓器 内におけるR.o. の消長 を追 及す る とともに その病理 組織 学的所見の逐 日 的変化 を追 及 した。 ここでは主 としてR.o.の 腹 腔内接 種後 におけ る,マ ウス臓器 の逐 日的変化の大綱について 述べ るこ とにす る。 そもそ も恙虫病患者にお ける病 理解剖学 的所見につい ては明治11年 ベル ツ10)の新潟県古志郡字 黒津にお ける恙 虫病患者剖検例報告 を初め とし,林10),川 村11),穂 積12) らの報告 がある。 恙虫病 の 実験的感染 動物の 病理解剖 ならびに組織学的所見 について も川村13),穂 積14)の和猿 に関す る,ま た穂積10)のラ ッテ,モ ルモ ッ トに関す る報 告 がある。マ ウスについては報告が少な く,1958年 野 鼡 系R.o.感 染マ ウスの脾臓 について原8)が,ま た肝臓に つ い て甘粕9)が 逐 日的病理 組織学的変化につい て述べ た。 こ とに石川15)はR.o.感 染マウス肝臓の病理組織所見 を 浸潤型 と肉芽型に分 け,各 型の出現 は季節 と感染R.o. の毒力に より支配 され るよ うであ ると報 告 した。 なお小 畑,福 住16)は恙 虫病汚染 地帯 に棲息す る野鼡の肝臓にお いて肝小葉 内の星芒細胞,脾 洞お よび濾胞 周囲にお ける 網様細胞 お よびMalipighi氏 小体の 内皮細胞の 各増殖 を報告 した。

Morphological Changes in Various Organs of Mice sacrificed daily after Inoculation with <i>Rickettsia orientalis</i>