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従来私た ちの研究室では,内 部環境恒常維持 に関与す る系,と くに副腎皮質機能 とこれに関係の深い諸量,あ るい は,代 謝 に及ぼす気候 の影響 につ き観察 を続 けて きた。 そ して,こ れ ら機能や量は,ほ とん どすべ て美事 な季節的 変動 を したので あつた。 この 季節的変動 曲線 は,原 則 として年間1相 型の律動 をす るけれ ども,往 々 に して年間2相 型 の律動 を顕現 したのであ る。換言すれ ば,寒 冷のみな らず暑熱 もまた副 腎皮質機能 を亢進せ し め る,と い うにた る独特 の年間律動 曲線 を得たのであつ た1)-8)。 恒温動物が4季 の外部温度変化 に も拘 らず,体 温 を一 定に保つためには,温 産生に関連 して甲状 腺機 能の消 長 に,年 間律動 があるで あろ うと仮 説す るのは,当 然 のこ とといわねばならない。 1912年,SeidelとFenger9)は,ウ シ,ブ タ,ヒ ツ ジ の 甲状腺内 ヨー ド量を測 り,これが冬低 く,夏は逆に高い とい う事実 をみつ けてい る。 降つて1925年,Romberg10) は,健 康 なヒ トの 血中 ヨー ド量を隔月的 に測定 した。そ の結果 も前述 甲状腺内 ヨー ド量 と同様冬低 く,夏 高い よ うな変化 を した,と 記載 してい る。 これ ら 先人の 業績 は,今 日に してみればその意味づけに注意 を要す るけれ ども,甲 状 腺を中心 とす る ヨー ド代謝に季節的変動があ ることを,明 らかに示 している。 さて,Sandellら11)は,4価 のセ リウムイオ ン(黄色) が,亜 砒酸に よ り3価 イオ ン(無 色)へ 還元 され る過程 において,ヨ ー ドに触媒作用のあ ることを利用 した ヨー ドの微量定量法 を提示 した。Chaney12)は,こ れを血清蛋 白結合 ヨー ド(以 下血清PBIと 記す)測 定に応用 した のであつた。爾来,こ れに種 々の改良が加 えられ,今 日 甲状 腺機 能の一示標 として,広 く用い られ るにいたつた のであ る13)。 この血清PBI濃 度 は,甲 状 腺か らの ホルモン 放出 と,末 梢臓器での これが消費 との釣 合に よ り決定 される で あろ うことは,い うまで もないけれ ども,主 として前 者に強 く関係す る とみ なされていた。 これが,血 清PB I濃 度測定 をもつ て,甲 状腺機能診断の有力 な方法 とさ れて きた所以 である。 そこで私 は,同 僚 た ちが内分泌学的 見地にたつ てお こ なつてい る気候医 学研究の一環 として,ウ サギにつき, 血清PBI濃 度を季節的に測 つてみた。す なわ ち,本 論 文にその内容 を紹介 しよ うとす る。

Climatic Effect upon the Functional Capacity of the Thyroid Gland