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症 例 患者:59歳,女性. 主訴:吐血. 既往歴:大動脈解離術後(Stanford A型,部分弓部置 換術後),高血圧,脂質異常症,うつ病,パニック障害. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:来院 3 日前より嚥下困難を自覚していた.平 成26年 8 月某日,咳き込んだ際に少量の吐血を認めた ため,近医を受診したところ吐血の原因の精査目的に 当院消化器内科へ紹介となった. 入院時現症:身長145cm,体重54kg,体温36.6°C,心 拍数100/分,血圧132/84mmHg,眼瞼結膜貧血あり,眼 球結膜黄疸なし,頸部表在リンパ節腫脹なし,肺雑音 なし,呼吸音左右差なし,心音清,汎収縮期雑音あり, 腹部に明らかな理学的所見なし,四肢浮腫なく目立っ た所見を認めなかった. 入院時血液検査所見:BUN 28.5mg/dl,Cre 1.22mg/ dl,WBC 12,700/μl,Hb 9.8g/dl,CRP 2.05mg/dl,D− D 20.6μg/dlと軽度の腎機能低下,炎症反 応上昇,貧血およびD−ダイマーの上昇を 認めた. 胸部単純X線(Fig. 1):心横隔膜角は鋭 であり,両肺野に明らかな浸潤影は認め られず.縦隔影の拡大を認めたが, 6 カ 月前のものと比較し著変は認められな かった. 上部消化管内視鏡検査(Color 1):胃内 に大量の血餅を認め,食道にはなだらか な隆起とその隆起の一部にフィブリン塊 様の付着物を認めた.吐血の原因となる ような明らかな活動性出血は認められな かった. 胸腹部造影CT(Fig. 2):明らかなfree air等はなく,弓部大動脈瘤と食道との交 通が認められ,胸部大動脈瘤による食道穿破が疑われ た. 経過:入院後に施行した上部消化管内視鏡検査およ び胸腹部造影CTの結果より,解離性大動脈瘤に伴う食 道穿破の診断とし,当院心臓血管外科へコンサルトし た.しかし,当院では対応困難な状態であるため,総 合病院へ転送となり,同日中に緊急手術を施行した.術 後経過は良好であり,離床しリハビリを施行していた が,術後第34日目,突然心肺停止状態となり死亡した.

A Patient in Whom Upper Endoscopy Was Useful for the Diagnosis of Esophageal Perforation Caused by Rupture of a Dissecting Aortic Aneurysm