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わが国では,2001 年から 3年間にわたりインフ ルエンザワクチンのA型株はA New Caledonia 20 99(H1N1)A Panama 2007 99(H3N2)株 が採用され接種されてきた.2004~5 シーズンは, 前年のA(H3N2)流行株の抗原連続変異により, A Wyoming 3 2003(H3N2)に変更となった. 我々は,2003~4 シーズンワクチン接種者のA H 3N2 ワクチン株と抗原連続変異株に対する抗体の 交差反応を検討するために,2003~4 シーズン後 の赤血球凝集阻止(Hemagglutination Inhibition;HI)抗体価を比較したので報告する. 対象と方法 対象は,埼玉県内の診療所に通院中の男性 20 名,女性 19 名の計 39 名(平均年齢 64.6±14.8 歳) で,このうち 2003~4 シーズンのインフルエンザ HAワクチン接種者は 26 名であった.2004 年 3 月に採取した保存血清をRDE処理し,市販イン フルエンザ赤血球凝集素(Hemagglutitin;HA)抗 原(A New Caledonia 20 99(H1N1),A Panama 2007 99(H3N2),B Santo 7 97,デンカ生研)と 自家増殖抗原(A Wyoming 3 2003(H3N2))を用 いHI 価を測定した.市販の 2004~5 シーズン Wyoming 株抗原は,モルモット赤血球を用いる 系であるため,2003~4 シーズンの Panama(ニワ トリ赤血球を使用)のHI 価と単純に比較できな い.そこで,我々は,ニワトリ赤血球を凝集する 自家増殖Wyoming 抗原を作成し,Panama 株と Wyoming 株に対するHI 価の測定にニワトリ赤 血球を用いて同時にHI 価を測定することによ り,両者の比較を行った. 結 果 Table 1 に示すように,接種群では,2003~4 ワ ク チ ン株である,A New Caledonia 20 99 (H1N1),A Panama 2007 99(H3N2),B 山東 7 97 の HI 価が有意に高い価であったのみなら ず,ワクチン株に含まれていないA Wyoming 3 2003(H3N2)も有意に高い価を示した.一般に発 症予防に有効といわれている 40 倍以上の抗体価 を有している者は,接種群ではA(H3N2) Panama 22 人(84.6%),Wyoming 21 人(80.8%),非 接種群ではA(H3N2) Panama 5 人(38.5%), Wyoming 5 人(38.5%)であった.両群とも 2003~ 4 シーズン中,インフルエンザ発症者はなかった ことから,A(H3N2) Panama とWyoming の交叉 反応が示唆された. 接種群は,非接種群と比較して,年齢が有意に 高いことから(Table 1),年齢による免疫応答の違 いを検討するために,対象を 65 歳で 2群に分けて 検討した.65 歳以上群の接種率が高いため,いず れのHI 価も 65 歳以上群で高かったが有意差は 認めず,2003~4 ワクチン株に含まれないA(H 3N2) Wyoming の HI 価も接種群にて上昇してい 短 報

Cross-induction of HI Antibody Against A (H3N2) of Influenza HA Vaccine