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Aeromonas 属による敗血症は,白血病や肝硬変 患者などの compromised host に発症することが 多いとされている.今回我々は,当科の入院肝 硬変患者における Aeromonas 属敗血症の現況に ついて報告する. 対象と方法 1980 年~2002 年 6 月に,東京女子医科大学消化 器内科に入院した肝硬変患者延べ 5,494 例(血液 培養 281 施行回)を対象とし,Aeromonas 属敗血症 の頻度・臨床像・予後を検討した. 成 績 Aeromonas 属は 6症例 7回検出され,血液培養 施行回数の 2.5%(7 281 回),血液培養による細 菌・真菌検出例の 5.8%(7 120 回)の頻度であっ た.臨床像では,皮膚軟部組織感染例はなく,敗 血症ショックが 3例に認められた.また全例が Child-Pugh score 13 点以上の肝硬変に発症して おり,転院例(Case 1)を除く延べ 6例中 3例で, 発症から 2カ月以内に死亡した(Table 1). 考 察 Aeromonas 属は自然界に広く存在し,食中毒の 起炎菌として知られているが,外傷例を除けば健 常人における敗血症は稀である.また Aeromonas 属による敗血症は,従来より悪性腫瘍(特に白血 病)や肝硬変患者に併発することが多いとされ, 他の基礎疾患としては,胆道系疾患・再生不良性 貧血・重症糖尿病・腎不全などが報告されて いる. 本邦の肝硬変患者における Aeromonas 属の検 出率については,水野らが血液培養施行回数の 1.8%(3 171),血液培養による細菌検出例(皮膚 常在菌の検出例を除く)の 6.8%(3 44)と報告し ており,我々の成績とほぼ同様であった.また本 邦の白血病患者では,敗血症における Aeromonas 属の検出率は,1.1%~4.3%(一部白血病以外の 造血器疾患を含む)と報告されている.一方,入 院患者全体を対象とした Aeromonas 属の検出率 (本邦例)については,敗血症症例の 1.9%(真菌検 出例を除く)とする報告もみられるが,延べ 400 菌株以上の血液分離菌を検討した報告では, 0%,0.3%,0.5%以下の頻度とされてお り,入院患者全体を対象とした場合には,敗血症 における Aeromonas 属の検出率はきわめて低い ものと考えられる.また台湾では,敗血症症例中 の Aeromonas 属の検出率は,入院患者全体では 1.6%(59 3,737)であるのに対し,肝硬変患者では 10.8%(27 250)とする報告もみられるが,我々 の検討でも,当科の入院肝硬変患者における Aeromonas 属の検出率(5.8%)は,入院患者全体 を対象とした場合の検出率(国内文献上 0~1.9%) と比較し,高頻度であると考えられた. 当科の入院肝硬変患者における Aeromonas 属敗血症の現況

Aeromonas Septicemia Complicated with Liver Cirrhosis in Tokyo Women's Medical University